
「消費者は価格高騰下で単に安いものを買うのではなく、ROI(費用対効果)意識を高めて選択的な消費を行っている」――。野村総合研究所(NRI)の調査リポートから、値上げが相次ぐ中での消費者の購買行動の変化と企業が取るべき対応策を探る。
原材料費や物流コストが上がっても、最終商品への価格転嫁が難しいとされてきた日本。しかし、昨今の円安やロシアのウクライナ侵攻などの影響により、2022年は値上げが2万品目を超え(帝国データバンク調べ)、毎月のように何かしらの値上げが発表されているほど。商品ジャンルは食品から日用品、家電、光熱費まで多岐にわたっている。そんな中、値上げに負担を感じている消費者の割合は高まっており、世帯年収300万円未満の低所得層だけでなく、300万~500万円の中堅層でも「負担が大きい」と答えた割合が5割を超えているという。
「プレミアム消費層」も特売品を選ぶ
買い物行動にも変化が生まれている。22年10月の調査を同年8月と比べてみると、値上げに対する買い物行動の変化として「購入する商品の種類や数、買い物に行く頻度を減らした」という回答の割合が変わらないのに対し、「特売やキャンペーンなどのタイミングを狙って買い物をするようになった」「お買い得品、値引き品を選ぶようになった」といった回答の割合が高まっている。さらに興味深いのは、価格をあまり気にせず、自分のライフスタイルで商品を選ぶ「プレミアム消費層」も特売やお買い得品を選ぶようになっている点だ。「プレミアム消費層は節約目的というより、値上げをきっかけに特売品やお買い得品を購入した際に、その中に十分満足できる商品があることに気付いたのではないか」(野村総合研究所マーケティングサイエンスコンサルティング部グループマネジャーの高橋弓子氏)。
単なる「節約」から「ROI消費」へ
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