2023年1月4日発売の「日経トレンディ2023年2月号」 ▼Amazonで購入する では、「新NISA式 ほったらかし株&投信」を特集。初心者でも始めやすい投資信託としてはインデックス型投信が人気だが、運用コストの差をしのぐ好成績を上げるアクティブ型投信も実は少なくない。本誌では長期の積み立て投資で成果を上げる投信を探るべく「投信大賞」を2018年から実施。今回もQUICK提供のデータと投信のプロ4人への取材を基に、「大賞」などを決めた。
※日経トレンディ2023年2月号より。詳しくは本誌参照




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――2022年を振り返ると、どのような年でしたか?
篠田 21年までは米国株、グロース株(成長株)が絶好調でしたが、22年は利上げの影響もあり、米国株が下落。バリュー株(割安株)優位の状況に転換しました。ただ日本の個人投資家からすると、円安によって“下駄を履いた”状況が10月まで続き、S&P500種株価指数に連動したインデックス型投信の運用成績は、足元1年も悪くありませんでした。しかし、11月以降は円高方向に振れており、23年は米国株など外国資産で運用する投信の本来の実力があらわになる可能性が高いです。
吉井 予想以上にインフレが進行し、特にハイパーグロース株(著しく高い成長率を誇る企業の株式)が急落しました。「破壊的イノベーション」をもたらす企業への集中投資で拡大してきた米国アーク・インベスト・マネジメントの旗艦ETF(上場投信)は、22年に62%も下落。米国の景気がさらに冷えると、企業業績が一段と圧迫される恐れもあります。グロース株や米国株に運用ポートフォリオが偏っている人は、運用スタイルや投資地域の分散を図るのがいいと思います。
深野 21年の後半には「レバナス」と呼ばれる、NASDAQ100指数を参照したレバレッジ型投信が人気を集めましたが、これも暴落しました。一方、日本は金融緩和政策が続いていたり、コロナショックからの周回遅れの回復があったりと、諸外国より落ち込みが軽微だったと思います。
石井 ロシアのウクライナ侵攻によって、一国集中投資のリスクが浮き彫りになった1年だったと感じています。ロシアだけに投資していた投信の一部は評価額がほぼゼロとなり、売買も停止してしまいました。
――23年の投資方針についてアドバイスをください
吉井 先行きが不透明なので、グロース株やバリュー株のどちらかに寄せるなど偏った戦略は取らない方がいいと思います。高金利が維持されるならバリュー株が引き続き好調となるし、景気の減速が進むならクオリティー株が安心。金融緩和を背景に株価が上昇する「不景気の株高」に入るならグロース株が巻き返す可能性もある。ただ、景気後退の前兆となる、米国債券市場で2年国債利回りが10年国債利回りを上回る「逆イールド」という状態が40年ぶりの大きさとなっていることなどから、個人的には景気が冷え込む予想です。積み立て投資をしている場合は、「底値で多く買える」と考え、毎月の積立額を増やしてもいいでしょう。
深野 米国の景気後退はより深刻になるかもしれません。利上げ中というのは企業の大きな倒産は少ないのですが、景気後退局面でいよいよ耐えられなくなる会社が出てくる可能性があります。また、中国の卸売物価指数が22年10月、11月と2カ月連続してマイナスに転じており、一過性のものでなければ、中国発のデフレが世界に影響を与えることもあるでしょう。一方、日本は23年の経済成長率が欧米より高いと予想されており、23年前半は調子がよさそうですが、後半ではインボイス制度の導入が足を引っ張る可能性があります。どの地域にも不安要素が多く、長期で積み立てをしているなら「耐える期間」と考えて、じっとしておくのが得策かと思います。
篠田 株式相場の変動が激しい状況は続きそうなので、インカムゲイン(配当収入)を安定的に獲得できる高配当株投信に目を向けてもいいでしょう。22年11月、12月は東証グロース市場指数が反発しており、しばらく苦戦が続いた日本の中小株に再注目するのもいいと思います。
石井 予測の立てづらい今の状況に適していると思うのが「あおぞら・徹底分散グローバル株式ファンド」です。世界の株式を対象に徹底分散を図り、組み入れ銘柄数は1万以上になります。少ない銘柄に集中投資する投信と比べて大きなリターンは期待しづらいですが、22年初来の投資成果は全世界株式のインデックス型投信を上回るものとなりました。また、今は米国の利上げで債券の利回りが高くなっています。今後、景気後退局面に入って利下げが行われるとすれば、債券はインカムゲインとキャピタルゲイン(値上がり益)を両方得られるようになるので、23年の後半には債券投資に目を向けてもいいでしょう。信用格付が低いぶん、好利回りなハイ・イールド債券投信も、一つの選択肢となりそうです。
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