2023年1月4日発売の「日経トレンディ2023年2月号」 ▼Amazonで購入する では、「新NISA式 ほったらかし株&投信」を特集。2022年には消費者物価指数が40年8カ月ぶりの上げ幅を記録するなど、インフレが進む中でどんな投資スタンスを取ればいいのか。智剣・Oskarグループの主席ストラテジストの大川智宏氏に展望を聞いた。

※日経トレンディ2023年2月号より。詳しくは本誌参照

智剣・Oskarグループ 主席ストラテジスト 大川智宏 氏
智剣・Oskarグループ 主席ストラテジスト 大川智宏 氏
大川智宏 氏
智剣・Oskarグループ 主席ストラテジスト
野村総合研究所、JPモルガン・アセットマネジメント、クレディ・スイス証券、UBS証券などを経て独立系リサーチ会社の智剣・Oskarグループを設立。専門は計量分析に基づいた株式市場の予測、投資戦略の立案など
「日経トレンディ2023年2月号」の購入はこちら(Amazon)

――23年の株式相場はどのような動きになると見ていますか。

 米国の景気は既にピークアウトしていますが、これはインフレに対抗するため、米国が景気を犠牲にした金融引き締めをあえてやっている結果です。今後、23年の半ばぐらいから景気後退に陥るというのが市場のコンセンサスと言ってもいい状況になっています。

 それでも米国のインフレが抑制されない場合、金融引き締めが続き23年は世界的に株価が下落するでしょう。日本株相場も無傷ではいられません。狙い通り物価が下がり米国株相場が戻せば、日本の株価もそれに連れて動きは良くなると思います。

 ただし、後者のシナリオでは、米国の金利が下がることで日米の金利差が縮小し、日本は円高プレッシャーにさらされます。日本の上場企業は売上高で見ると、6対4ぐらいの割合でまだ外需の方が強い状況です。円高の進行は企業業績の足を引っ張ります。景気に敏感といわれる製造業や資源関連の外需企業の1年先の利益予想は、足元で既に減益に転じています。

 では内需企業はどうかというと、一応は増益予想ですが、リオープン(経済再開)期待は消化されてしまっています。国内のインフレがさらに進むマイナス要因の懸念も強い。22年10月の日本の消費者物価指数(総合指数)は前年同月比+3.7%でしたが、これが4~5%台になると深刻だといえます。名目賃金は上がるでしょうが、前述の通りこれから減益になる製造業などはインフレ率を超えるペースで賃上げすることは厳しい。ただ、中国のゼロコロナ政策に一段の規制緩和や解除があり、インバウンドで日本の内需が跳ね上がる期待感が生まれるというプラス要因もあります。

 こうしたことから、23年の日本株相場は世界一扱いが難しい。あえて予想するなら、23年1~3月の日経平均株価は2万9000円くらいになりますが、年央には円高が進行。年後半には2万5000円を割る可能性もあると思います。いずれにせよ、上値をどんどんと追っていく展開は難しいとみています。

この記事は会員限定(無料)です。

2
この記事をいいね!する