
モビリティー関連の発表会が相次いだデジタル技術見本市「CES 2023」で、各社が示したキーワードが「ソフトウエアで進化するクルマ」。自動運転時代を見据え、高度なデータ処理能力を持つクルマがどんなサービスを生みだすのか。MaaS Tech Japanの木野貴史氏が展望する。
新型コロナウイルス感染症拡大のパンデミック(世界的大流行)前と同様のにぎわいを見せたCES 2023の会場を回り、モビリティー関連の発表会や展示を見ることができた。全体を通して実感した変化は、各社が示す発表内容がかつてのようなハードウエアではなく、ソフトウエアとサービスに重点を置くようになったことだ。
自動車メーカー各社は「ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)」というキーワードを繰り返し強調した。自動運転の時代が到来すれば、ドライバーは常時ハンドルを握る必要がなくなる。その空いた時間を利用し、車内のディスプレーでゲームなどのエンターテインメントやネットショッピングを楽しむ、あるいは仕事をするなど、新たなユースケースとサービスが生まれてくる。
これらは以前からいわれてきていたことだが、単なる概念や技術要素ではなく、実際の製品やサービスとしての具体化しつつあることが今回のCESで見えてきた。
クルマはドライバーの相棒になれるのか
自動車メーカーの中で、最もインパクトのあった発表といえば独BMWだった。往年のSFドラマ『ナイトライダー』に登場した「ナイト2000」のような自然なAI(人工知能)対話機能を持ち、フロントガラスの透過型ディスプレーにさまざまな情報やコンテンツを表示できる「i VISION Dee(iビジョンディー)」を公開した。電子ペーパーの技術で車体の色を自由自在に変更できるという特徴もある。映画『ターミネーター』でアンドロイドを演じたアーノルド・シュワルツェネッガー氏が登場して会場を盛り上げた。
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