
近年SNS活用に力を入れているのが、広島県だ。2020年4月にはTikTokアカウントを開設。新型コロナウイルス感染対策に関するさまざまな情報を、TikTokを利用する若い人に向けて発信するためだ。広島県のTikTok活用のポイントは、人気クリエーターとの共創にある。
TikTokで2万2000フォロワー(23年1月13日時点)を抱える広島県。県のアカウントには、新型コロナ対策に関する湯崎英彦県知事によるメッセージ動画、「広島焼の日」を紹介する動画、「うさぎ島」の異名を持つ、広島県竹原市沖の大久野島で暮らすうさぎの動画などバラエティーに富んだコンテンツが並ぶ。
そうした多種多様なコンテンツのなかで際立つのが、TikTokで人気のクリエーターが出演する動画だ。例えば料理動画で人気のバヤシ氏。フォロワー4000万以上(同)を抱えるトップクリエーターのバヤシ氏が、広島県産の牡蠣とレモンを使ったカキフライや比婆牛を使ったステーキをつくるというもの。バヤシ氏が笑顔でおいしそうに試食するおなじみのシーンもある。カキフライの動画が19万回以上、ステーキの動画は31万回以上(同)再生されている。
@hiroshima_pref 大人気の動画クリエイター バヤシさん @bayashi.tiktok から #比婆牛 を使った美味しそうな動画が届きました! #広島県 #グルメ #tiktokfood #asmr #チア!ひろしま #pr ♬ オリジナル楽曲 - 【公式】広島県
広島県は、他にもさまざまなクリエーターを起用した動画を投稿するなど、クリエーターとの共創に注力する。広島県の事例から、共創で成果を出すポイントを見ていく。
「新型コロナ関連の情報を若者に届けたい」
Twitter、Facebook、InstagramなどさまざまなSNSを活用している広島県。新型コロナウイルス感染症の発生を受け、2020年4月にはTikTokアカウントも開設した。他のSNSでは届けられなかった10~20代の若い層に、県として届けたい適切な情報を提供するためだ。ショート動画ならば端的に分かりやすく伝えられるのではないか、という狙いもあった。
運用を担当するのは、広島県ブランド・コミュニケーション戦略チーム主事の五反田未来氏を中心とした、若い職員4人だ。各部局から「こういう情報を発信してほしい」と届いたリクエストの中から、どれであれば若い世代に興味を持ってもらえるか精査し、動画制作を行う。
緊急事態宣言が発令されている間など、新型コロナに関連する発信が多い期間は頻繁に更新するようにしてきた。一方、状況が落ち着いている間は、投稿頻度は月に2回程度としている。そのうち1回は、県知事がラジオ番組に出演する際に行うライブ配信だ。22年8月6日の平和祈念式典の際も、ライブ配信を行った。
「いろいろなパターンを試してみて、若い世代に興味を持って見ていただける動画はどういうものなのか試行錯誤をしている状態」とTikTokアカウントを管轄する同政策監の粟根麻衣子氏は話す。
これまで投稿してきた動画の中で反響が大きかったものとして、「広島プロフェッショナル」というシリーズがある。50万回以上(同)再生されている動画もある人気シリーズだ。
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