Z世代に受けるショート動画の作り方 第1回

これからの消費を担う世代として期待されるZ世代(1990年半ばから2010年代前半生まれ)。彼らの支持を得るブランドになるためには、Z世代が長く接触するショート動画の活用が欠かせない。しかしショート動画はプライベートで視聴されることも多く、そこにいかにも企業然としたお堅い動画を投稿したところで見続けてもらうのは難しい。ではどうしたらZ世代に愛されるショート動画は作れるのか? 本特集第1回では、企業がショート動画活用に取り組む際の10の心得を解説する。

TikTokを始め、Z世代の利用が多いショート動画プラットフォームを企業が有効に活用する「10の心得」を人気クリエーターが明かす(画像/Shutterstock)
TikTokを始め、Z世代の利用が多いショート動画プラットフォームを企業が有効に活用する「10の心得」を人気クリエーターが明かす(画像/Shutterstock)

 TikTok、Instagram、Twitter、YouTube――。Z世代に利用されることが多いこれらのSNSは近年、ショート動画プラットフォームとしての存在感も強めている。さまざまなSNSを併用しながら効率よく情報収集したいと望むZ世代は、「タイパ(タイムパフォーマンス)重視の世代」ともいわれ、短時間で情報が詰め込まれたショート動画は相性がいい。Z世代を顧客層に据える企業の中には、このトレンドを押さえようと、マーケティング・PR目的でショート動画活用に取り組み始めるケースも増えている。

 しかし実は、「Z世代を直接顧客層としていない企業にとってもショート動画を活用するメリットがある」と指摘するのは、自身もクリエーターとして活動しながら、有名タレントや大手企業のSNSマーケティングを支援するFORSTY(東京・渋谷)代表の清水佑吏氏だ。

 Z世代はショート動画を通じていち早く流行を押さえるだけでなく、拡散能力も高い。彼らにシェアされることで、そのショート動画が30代、40代など上の世代の目にも留まる可能性が出てくるというわけだ。実際TikTokは30代、40代の利用者が全ユーザーの26.51%(ニールセン調べ)と、Z世代以外の利用も増えている。つまりZ世代は、直接的な顧客となり得るだけではなく、他の世代への情報の橋渡し役としても重要な役割を担っているのだ。

(※)スマートフォンでTikTokを利用する18歳以上の全利用者数(2212万5000人)のうち、30~40歳代が占める割合(利用者数は810万7000人)

 本特集は、Z世代に愛されるショート動画作りの極意を、多くのファンを抱える企業の活用事例とともに5回にわたって紹介する。第1回は清水氏が指南する、企業がショート動画を作るうえで押さえたい「10の心得」について。

4つの主要SNS、それぞれの役割

 清水氏によると、TikTok、Instagram、Twitter、YouTubeを利用するZ世代の目的はそれぞれ異なるといい、以下のように大別される。なおZ世代女性のSNS別ショート動画利用実態については、特集第2回で詳しく紹介する。

Z世代によるSNS別の利用目的(※「発見タブ」:Instagramの利用者が当該アカウントをフォローしていなくても、利用者ごとに適した投稿やリールが、お薦めコンテンツとして表示される機能。「ストーリーズ」:24時間で消える投稿機能)
Z世代によるSNS別の利用目的(※「発見タブ」:Instagramの利用者が当該アカウントをフォローしていなくても、利用者ごとに適した投稿やリールが、お薦めコンテンツとして表示される機能。「ストーリーズ」:24時間で消える投稿機能)

 ではここから、企業がショート動画を活用するうえで押さえるべき「10の心得」について解説していく。

  • その1:目的・ルールを定める! 炎上リスクの予防線にも
  • その2:“中の人”のキャラは作りこまない! 持ち味を生かす
  • その3:オリジナルにこだわらない! 流行を自社流にアレンジ
  • その4:企業感を出さない! PR要素強めはご法度
  • その5:専門用語は使わない! 分かりやすさを追求
  • その6:体験と共感を意識! “エモさ”がシェアにつながる
  • その7:冒頭1秒が勝負! お決まりフレーズを作る
  • その8:テンポを大事に! カット割りは「思っているより3倍以上細かく」
  • その9:1本の動画を使い倒す! 複数のSNSに投稿し視聴者層を拡大
  • その10:TikTokで見るべきKPI(重要業績評価指標)は3つ! 数値を見ながらPDCA(計画、実行、評価、改善)を回す

ショート動画活用、企業が押さえるべき「10の心得」

・その1:目的・ルールを定める! 炎上リスクの予防線にも

 どのプラットフォームを使うにしても、まずはショート動画の活用目的を決める必要がある。商品の売り上げ向上、売り場(ECサイト、実店舗など)の認知向上、人材採用など、情報発信を通して何を実現したいか、アカウントの軸となるテーマが決まらないとコンテンツを作りにくいからだ。テーマが決まったら企画出し、台本作り、撮影・編集と具体的な作業に入る。

 SNSの活用においては、炎上というリスクも少なからずある。1つの予防策として、事前にルールを定めておくとよいと清水氏は指摘する。例えば人によって価値観が異なる話題(政治、スポーツ、宗教など)に関しては触れないようにするなどだ。

・その2:“中の人”のキャラは作りこまない! 持ち味を生かす

 やはり人は人に関心があるもの。企業の活用においても、なるべく“中の人”を出す方がよいと清水氏は言う。その際、無理にキャラクターを作りこむのではなく、その人の個性が感じられる状態が好ましい。なぜなら日常と変わらない様子で所属する企業の商品やサービスについて話す姿は、“リアルな声”として共感を得やすいからだ。

 例えばライブ配信を活用してみたり、一発撮りに挑戦してみたりと、その人が本来持っている持ち味を生かしやすい方法も検討したい。以前日経クロストレンドで紹介した、くら寿司のYouTube活用例はまさに“中の人”の個性を出すことで成果につなげた好例だ。

▼関連記事 「くら寿司」1本の短尺動画で登録者6倍 企業YouTuberの突破法

・その3:オリジナルにこだわらない! 流行を自社流にアレンジ

 ショート動画活用の最大のポイントともいえるのが、「オリジナルにはこだわらない」ことだ。「見られる動画には見られる動画なりの理由がある」(清水氏)ように、流行している動画や再生回数を伸ばしている動画は、使用している楽曲、構成、セリフなど何かしら人をひきつける魅力がある。もちろん「完全丸パクリは良くないが、既存の動画に対し敬意を持ってオマージュする」ことが見られる動画作りのコツだと清水氏は言う。

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