
Z世代に人気のメンズ美容室「リップスヘアー」のオリジナルヘアワックスが売れている。Z世代のニーズを捉え、容器の色はメタリック調からパステル調に刷新。アパレル大手アダストリアの「レイジブルー」など、販路も広がっている。
来店客の90%以上が10代から20代の男性で、年間約40万人が訪れる美容室「リップスヘアー」の経営をはじめ、メンズのスタイリング剤やコスメ製品の企画・販売を手掛けるリップス(東京・港)は、旗艦商品「ヘアワックス」のリニューアルを行った。全9種類のパッケージデザインを刷新し、一部は中身も改良。開閉しやすいオリジナル容器を開発した。パッケージの色はメタリック調からマットな質感のパステル調に変更し、ファッション性を高めた。売れ行きは好調で、新型コロナ禍真っただ中の2021年11月にリニューアル発売したところ、同年12月の出荷数は3倍以上、ロフト全店での同月の販売数は、前年同月比57%増。リピーターも多く、約1年後の22年10月も同30%増と伸長し続けている。
販路も広がっている。リニューアル前、ロフトやドラッグストアなど導入店舗数は約4000店だったが、1年後には約1万店(22年11月時点)に増加。その要因についてリップス代表取締役の的場隆光氏は、「パッケージデザインを変えたことで、次世代に向けた商品であることが、ひと目で伝わるようになったからではないか」と話す。同・取締役 商品事業部長の長島幹孟氏は「小売店に営業したときのバイヤーの反応が格段によくなり、商品を見せるだけで導入を決めてくれることも珍しくない。リップスが提案するヘアスタイルは、ワックスを2種類ほど組み合わせて使っていることが多い。種類が豊富なことも魅力の1つなので、小売店では単品ではなく全9種類の取り扱いを提案しているが、たいてい受け入れてもらえている」と話す。
22年6月から、アパレル大手のアダストリアのブランド「レイジブルー」の全42店舗でも、ヘアワックスやヘアオイルの取り扱いを始めた。レイジブルーはリップスと同じZ世代に人気のブランドで、順調に売れているという。
いい意味での曖昧さ
今回、リップスがヘアワックスのパッケージの色をパステル調のニュアンスカラーに変更したのは、リップスヘアーのメーン顧客であるZ世代にとって“かっこよさ”を象徴する色と考えているからだ。
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