※日経エンタテインメント! 2022年12月号の記事を再構成

11人組ボーイズグループ・JO1の白岩瑠姫がメインパーソナリティーを務め、毎週2人のメンバーをパートナーに迎えて放送する『JO1のオールナイトニッポン X(クロス)』。「どうやってラジオを聴くのかすら知らなかった」という24歳の白岩は、「だからこそ僕がやる意味があると思った」と番組への使命を力強く語る。

しろいわ・るき 1997年11月19日生まれ、東京都出身。2019年、オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』を経て、11人組ボーイズグループ「JO1」のメンバーに選ばれ、20年3月にデビュー。22年10月にリリースした最新シングル『MIDNIGHT SUN』は初週に自己最高の60万枚以上を売り上げ、リード曲『SuperCali』のミュージックビデオは公開2週間足らずで再生回数3000万を突破するなど、3年目も勢いは加速し続けている
しろいわ・るき 1997年11月19日生まれ、東京都出身。2019年、オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』を経て、11人組ボーイズグループ「JO1」のメンバーに選ばれ、20年3月にデビュー。22年10月にリリースした最新シングル『MIDNIGHT SUN』は初週に自己最高の60万枚以上を売り上げ、リード曲『SuperCali』のミュージックビデオは公開2週間足らずで再生回数3000万を突破するなど、3年目も勢いは加速し続けている

 『JO1のオールナイトニッポン X(クロス)』(以下、ANN X)は、2022年3月の特番を経て、4月6日から始まった。初回から番組公式ハッシュタグ「#JO1ANNX」が10万超のツイートを記録し、世界トレンド1位に。以降もトレンド上位の常連だ。メインパーソナリティーを務める白岩瑠姫は、11人のメンバーの中から自分が抜てきされたことに、驚いたという。

 ラジオになじみのなかった僕でさえ、「オールナイトニッポン」の名前はもちろん知っていました。それほど歴史がある大きな番組への出演が決まったときには、不安が大きかったです。とはいえ、JO1に何かを期待して抜てきしてくださったと思うし、僕らはコロナ禍の2020年にデビューして、ファンの方々との交流さえ難しかったグループなので、こうして生放送で時間を共有する機会ができたことはうれしかったです。

 番組が正式にレギュラーになり、メインパーソナリティーの話を聞いたときは、メンバーの中で僕、ということに重みを感じましたし、びっくりしたのが本音です。というのも僕は、11人でいる時にはあんまりしゃべらないし、バラエティ番組に出ても話せないんです。だから、マネジャーに「何で俺なんですか?」と聞いたら、今までの活動を見てのことと言ってくれて、すごく自信につながりました。

 僕はこれまでグループのためになる役割を見出せていなかった。だけど、メインパーソナリティーに起用していただいたことをきっかけに、そんなこともなかったのかもしれないと思えました。僕にとって『ANN X』は、1つのラジオの仕事という以上に得るものが大きかったです。

 いざやってみると、リアルタイムでリスナーさんからのリアクションが届くって、すごく分かりやすいシステムだなと思いました。「今、トレンド1位だよ」といった反響もイヤホンを通して届くし、どれくらいの人がどう思って聴いているのか、熱が直接伝わるような感覚がありますね。最初は余裕がなくて時間を気にすることができなかったり、逆に進行に集中しすぎて話が頭に入らなかったりなど、反省することも多かったです。1つひとつ「次はないように」と意識して、だんだん「そろそろ次のメールにいったほうがいいな」といったペース管理もできるようになりました。

 僕が面白いと思うコーナーは、メンバーの近況トーク。あと、いただくメールも面白くて、例えば「右足でアルコール消毒のペダルを踏んだとき、右手で受けたら1番かっこいい」とか、「いつ、それを思いつくん?」みたいな内容ばっかりで感心しています(笑)。

 生放送では、リスナーの投票でオンエア曲を決める「Twitter選曲対決」も盛り上がりますね。収録だとそれができないぶん、お便りをたくさん読めるし、フリートークの時間を延ばせます。どちらにも良いところはありますね。

 本当はもっとしっぽりした感じで、おとなしいラジオもやってみたいんですが、ファンの方は僕たちの楽しんでいる姿を見たいだろうなと思うとクールになれず、元気が出ちゃうんです(笑)。それは「smash.」の存在もかなり大きいですね。常に映像でも見られているから、元気でいなきゃと思うし、気が抜けません。メンバーのあくびが映ったりしたのもかわいかったですよね(笑)。

回し役ってボケられない

 JO1メンバーの違う一面を見せられるのも、自分が『ANN X』でメインパーソナリティーを務めているからかもと話す。

 一番気をつけているのは「何かしら発する」こと。メンバーが考え込んだりリアクションに困ったりしているときは、まず僕が言葉を発してリードしようと心掛けています。分からなくても黙らずに、「分っかんないなぁ!」「何だろう?」とか、とにかく声に出す。普段なら心で思うだけのことも、なるべく素直にマイクに乗せ、間をつなぐようにしています。

 間といえば、21年、初めて有観客ライブをやったんですが、とにかくMCが下手で。間を埋められず、謎の沈黙ができてしまったんです。その点、今回のツアーでは、MCの成長を感じました。ラジオだけの影響とは言えないけど、この番組を経験したことは大きかったんじゃないかな。「今、誰がしゃべる?」「誰がリアクションする?」といったバランスを、お互いに把握できるようになったと思います。

 3月の番組の就任会見で、「僕らは失言が多いグループ」だと言ってしまったんですが、メンバーは本当に頑張ってくれています。ただ(リーダーの)與那城(奨)がね…対戦相手がいなかったから戦わずして優勝したボクシングの県大会の話や、沖縄限定の「ゼブラパン」の話などで、毎回爪痕を残していくのがずるい(笑)。

 だけど僕自身、やってみて分かったんですが、回し役ってボケられないんですよね。奨君が番組に来たときの暴れようを見て、彼が普段いかにボケたいのを我慢してMCを担当してくれていたのかが分かりました。JO1みんなで作るラジオですから、ここでは、普段の奨君の役割を僕が担うことで、メンバーの新しい一面も見せられているんじゃないかな。みんなも伸び伸びしてきて、ここが居心地のいい空間になったのかなと思うとうれしいですが、この先も事故がないようにと意識しています。

 最近では、ディレクターと意見を交わす機会が増えたという白岩。ツアー中の放送回にも、自身の思いが反映された。

 ツアー中は、ファンはツアーの話が聞きたいと思うし、僕らも話したかったんですが、ネタバレの懸念もあって、台本上できなかったんです。だけど僕がリスナーだったら、何を食べたかといった些細なことでもいいから知りたい。だから翌週、「近況トークのコーナーで、できる範囲でツアーの話をしたいです」と伝えて、お話することができました。最近は、「こっちのほうが盛り上がりそうだから長くしましょう」といったことも話しますし、とてもやりやすい環境で、みんなで良いものを作ることができています。

 ツアーでは、公演後にファンの方とお会いするイベントがあるんですが、ほぼ全員が「ラジオ聴いてます」と言ってくれるんです。ラジオになじみのなかった世代の方に聴いていただくという使命を少しずつ果たせているのかな、と感じた機会でした。それから、有名なハガキ職人の方がメールやツイートをしてくださるのもうれしい。「この人が言うなら面白そう、聴いてみようかな」と、ファン以外の方も少しずつ僕らの番組を知ってくれているんだなと感じます。

 まだ実現には至っていませんが、いろんな企画も考えています。メンバー以外のゲストも呼んでみたいし、1人でやる回もあっていいと思うし、いろいろ挑戦してみたい。だけど、理想は変わらず、しっぽりしたラジオです(笑)。

JO1のオールナイトニッポン X(クロス) 水曜24時~24時58分
 22年4月にスタート。白岩瑠姫が毎週2人のJO1メンバーを迎え、プライベートな話から学生時代の思い出まで、様々なトークで盛り上がっている。暴走しそうになるメンバーをコントロールする白岩のMC力も聴きどころの1つ。

「白岩瑠姫くんは、JO1の中でも1番バランサーというか、すごくいろんなことに気を配れるので、メインMCにぴったりです。韓国から放送したときも、状況把握能力がとても秀れていて、ポテンシャルの高さを感じました。」(ANNの番組プロデューサーの冨山雄一氏)

(写真/中川容邦)

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