YouTubeマーケ完全マニュアル 第7回

リクルートが展開するオンライン学習動画サービス「スタディサプリ」のYouTubeチャンネルが好調だ。2022年9月から、短尺動画を強化する形でチャンネル運用に注力。22年12月にはチャンネル登録者数が10万人を突破した。短尺動画を効果的に使うには、既存の動画を短く編集するだけでは不十分だ。リクルートは3つのポイントで縦型の短尺動画投稿機能「YouTubeショート」を活用している。最大のポイントは「最初の1秒」の攻略だ。

リクルートが展開するオンライン学習動画サービス「スタディサプリ」のYouTubeチャンネルでは、2022年9月から「YouTubeショート」のコンテンツ制作に力を入れている
リクルートが展開するオンライン学習動画サービス「スタディサプリ」のYouTubeチャンネルでは、2022年9月から「YouTubeショート」のコンテンツ制作に力を入れている

 「短尺動画は導入としてはいいが、その分離脱もしやすい」。リクルートコンテンツマネジメント部中学コンテンツグループコンテンツプランナーの成田凌氏はこう指摘する。

 縦型短尺動画に特化したSNS「TikTok」の流行を受け、各SNSが縦型短尺動画の機能を強化している。米グーグルも20年9月に、1分以内の縦型動画を投稿できる機能「YouTubeショート」をYouTubeに加えた。

 リクルートはYouTubeショートを有効活用することで、スタディサプリのYouTubeチャンネルの登録者数を大きく拡大させた。しかし、既存のコンテンツを単に短尺化するような安易な発想では活用しない。

 「『Good morning =おはよう』じゃない!? 本当の意味を解説」「イモリとヤモリの見分け方」「一番長い英単語は?」――。

 これらは、スタディサプリのYouTubeチャンネルに上がっている短尺動画のコンテンツだ。それぞれ22年12月20日時点で、再生数が320万回、57万回、37万回を超える人気動画になっている。いずれも、スタディサプリで配信する講義動画の中から“短尺動画映え”する箇所を選び、編集した動画だ。1分に満たない短尺動画といえど、ただ長尺動画を短く編集すればいいというわけではない。

認知獲得のため、短尺動画に着目

 リクルートがスタディサプリでYouTubeに力を入れ始めたのは、22年9月からのこと。YouTubeショート機能が加わってからであり、実は日が浅い。

 スタディサプリは12年から、地理的、経済的な理由から発生する教育環境の格差を解消すべく、「世界の果てまで最高の学びを届ける」ことをミッションとして掲げてスタートしたサービスだ。22年にサービス開始から10周年を迎えた。ミッションも「学びたい、学んでよかったと思える人を増やすために、学びをもっと新しく。」へと刷新し、中高生のみならず、英会話や資格の取得を目指す社会人なども含めて、さらなる利用者拡大を見据えている。

スタディサプリは22年、サービス開始から10周年を迎えた。ミッションやビジョンを刷新し、さらなる利用者拡大を見据える
スタディサプリは22年、サービス開始から10周年を迎えた。ミッションやビジョンを刷新し、さらなる利用者拡大を見据える

 アプリやWebサイトで配信される講義動画が事業のメインコンテンツということもあり、以前はYouTubeチャンネルの運用には特に力を入れていなかった。「アーカイブ的な使い方にとどまっていた」と、成田氏は振り返る。YouTubeチャンネルは、スタディサプリの紹介動画やテレビCMをストックしておく程度にすぎず、認知獲得に重きを置いていなかった。

 しかし、SNSを取り巻く環境は、10年前から大きく変わった。Twitter、Instagram、TikTokなど、SNS上の動画コンテンツは多彩にある。スタディサプリの重要な顧客である学生と接点を持つには、それらを通じたコミュニケーションがなおさら必要になる。「これまでテレビCMがマーケティングの中心だったが、Z世代にリーチするため、デジタルコンテンツにも力を入れていこうという流れになった」(成田氏)

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