YouTubeマーケ完全マニュアル 第5回

「YouTube」で広告を見ない日はない。多くの企業がマーケティングに活用しており、広告手段として定着している。最近では、「YouTubeショート」という縦型短尺動画の投稿機能に対応した広告商品も登場するなど、提供される広告商品も増えている。YouTubeの広告で効果を出すためには、媒体の特性に合わせたクリエイティブ制作などで工夫が必要だ。YouTube広告で抱かれがちな4つの誤解と合わせて、グーグルが提唱する動画広告制作の必勝手順「ABCDフレームワーク」を解説する。

YouTube広告は多くの広告主が利用する。成果を出すためには媒体特性を理解し、工夫して広告クリエイティブを制作する必要がある(写真/Shutterstock)
YouTube広告は多くの広告主が利用する。成果を出すためには媒体特性を理解し、工夫して広告クリエイティブを制作する必要がある(写真/Shutterstock)

 YouTubeは動画コンテンツを楽しむプラットフォームだが、その楽しみ方にも変化が起こっている。「近年で最も大きな変化は、YouTubeの動画が商品購入のきっかけになっていることだ」とグーグルYouTube広告シニアマーケティングマネージャーの中村全信氏は言う。化粧品、おもちゃ、アパレルなど、特定領域に特化したクリエーターが紹介する動画を通じて、商品を探したり、使い方を覚えたりすることで消費につながっている。

 動画を見て暇をつぶすサービスから、消費を生みだすプラットフォームへとYouTubeが拡張するにつれ、企業にとってもますます重要な消費者接点の場になっている。マーケティングファネルの最上段の「認知」を目的とした活用は、国内利用者数が7000万人を超え、もはや“マスメディア”とも言えるサービスゆえに最も得意とするところだろう。例えば、6秒の短尺動画広告商品「バンパー」はスキップ機能がないだけに、短時間で商品・ブランド名を端的に訴求するのに向く。

 一方で、広告経由の直接購入を狙った活用はそぐわないといわれてきた。YouTubeの利用者は動画の閲覧を目的としているため、動画内に挿入される広告を見て、動画の視聴をやめてまで広告の誘導先を訪れる人は少ないと考えられていたからだ。だが、その常識は過去のものになっている。大丸松坂屋百貨店はECサイトでのおせち料理の販売促進にYouTube広告を活用し、広告経由のCVR(購入率)を大幅に高めた。

 「従来から使われてきた商品・ブランドの認知度を高めるリーチメディアとしての活用はもちろんだが、ブランドへの好意形成や売り上げ増加を目的とした活用も増えている」とグーグル ヘッド・オブ・ビデオソリューションの須田尚宏氏は言う。広告主の活用の幅も広がっている。

 グーグルの認定パートナーを取得したデジタルマーケティング支援会社Kaizen Platformの動画事業部の大塚宥吾部長は、「YouTubeは広告を出稿する場としてすっかり定着した。BtoB(企業向け)事業者にまで活用は広がり始めている」と明かす。

 大塚氏はYouTube広告の本質的な価値は2つあるという。1つ目は7000万人を超える、国内有数の利用者数を持つ巨大メディアである点。2つ目は、検索サイトや動画の閲覧といった、グーグルの持つ豊富なデータを用いて、精度の高いアルゴリズムで広告主の顧客層に広告を配信できる点だ。利用者が多いからこそ、データで絞り込んでも十分な配信ボリュームを確保できる。

 さらに、AI(人工知能)がデータに基づき、効果が高い広告クリエイティブや配信対象に予算配分などを自動的に最適するアルゴリズムもグーグルならでは。2022年からは1人当たりに広告を表示する回数、すなわちデバイスを横断したフリークエンシーのコントロールも配信対象層に合わせて、自由に設計可能になった。

 そうした、YouTubeの持つ強みを最大限に引き出し、有効活用するには媒体特性を踏まえた次の4つの誤解に注意を払い、作法を学ぶ必要がある。

YouTube広告を活用するうえでは、4つの誤解に注意を払う必要がある
YouTube広告を活用するうえでは、4つの誤解に注意を払う必要がある

AI任せによるブラックボックス化はやめよ

 1つ目の誤解は「複数のクリエイティブをAIに競わせればよい」だ。正確に言えば、配信対象や訴求軸を明確にせず、アイデア勝負だけでAIに競わせても頭打ちになる。動画広告は静止画の広告に比べて、改善すべきポイントが非常に多い。静止画の広告であれば配信対象、商品写真、キャッチコピーなどの組み合わせ程度だが、動画ではそれらに加えて動画の構成、ナレーションの内容、テロップの文面など、変数が多く複雑だ。「広告効果の寄与度はクリエイティブが49%といわれるぐらい重要だ」とKaizen Platformの大塚氏は言う。

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