YouTubeマーケ完全マニュアル 第2回

利用者7500万人(ニールセン調べ)を超える巨大動画メディア「YouTube」を、企業がマーケティングに活用する方法の1つがチャンネルの開設だ。チャンネルには、視聴者が継続的に動画を閲覧したい場合に登録するという機能がある。登録者を増やすことで、多様な情報を伝えられる動画で中長期的に接点を持てるようになる。特集第2回では、登録者数の増加策や魅力的な動画の制作方法など、チャンネルを有効活用するための5つの条件を解説する。

YouTubeのチャンネル運用を拡大するための5つの条件は?(画像/Shutterstock)
YouTubeのチャンネル運用を拡大するための5つの条件は?(画像/Shutterstock)

 「短尺、長尺の両方の動画を投稿しているなど、YouTubeで提供される複数の機能を利用して運営しているチャンネルのほうが、より成長が早いという結果が出ている」。こう明言するのは、グーグルのYouTubeコンテンツパートナーシップ上妻真木氏だ。

 YouTubeには長尺、短尺、ライブ配信といった複数の動画フォーマットや、チャンネル登録者と対話できるコミュニティーなど、さまざまな機能が提供されている。これらの機能を併用することで、利用者との接点を増やすことが重要だ。YouTubeチャンネルを有効活用するための1つ目の条件は、「機能の併用」となる。

YouTubeチャンネル運用の5条件

●条件1:機能の併用
●条件2:人軸のコミュニケーション
●条件3:データに基づく動画制作
●条件4:サムネイルのPDCA(計画・実行・評価・改善)
●条件5:コラボ動画

条件1:機能の併用

 YouTubeが提供する複数の機能の中でも、特に重要度が増しているのが、「YouTubeショート」だ。これは1分までの短尺動画を投稿できる機能で、2020年9月から提供されている。短尺動画のSNS「TikTok」に対抗して提供された機能だが、YouTubeでも視聴者が急拡大し、無視できない存在になっている。

 YouTubeショートは1分と限られた時間でしか制作ができないこともあり、短時間でいかに情報量を詰め込めるかがポイントになる。そのため、「キャッチーな動画になるので、そこで興味を持ってもらいやすい」(上妻氏)。

 YouTubeのサイトやアプリにはショート専用のフィード(ページ)が設けられており、「これまでチャンネルを知らなかった人にも動画を届けやすい。YouTubeショートは、興味喚起の部分で使いやすい機能だ。新しい動画に出合える場所になっている」(上妻氏)。つまりYouTubeショートを活用することで、これまで長尺だけでは届けることができなかった潜在ユーザーとの出会いを創出できるのだ。

YouTube内には、ショートにつながる導線がいろいろと設けられている
YouTube内には、ショートにつながる導線がいろいろと設けられている

 YouTubeショートの活用によって登録者数を増やしている例は、枚挙にいとまがない。例えば特集第3回で紹介する、すし店チェーンのくら寿司が運営するYouTubeチャンネル「くら寿司 178イナバニュース」は、1本のショート動画が1600万回以上(22年12月15日時点)再生され、それまで7000人程度だったチャンネル登録者数を急増させる起爆剤となった。現在、4万5000人(同)が登録している。

 大阪発家電メーカーのライソン(大阪府東大阪市)は、チャンネルの登録者数で伸び悩んでいたが、ショート動画に振り切ったことでフォロワー数が急増。活用当初は「25年にチャンネル登録者数1万人」を目標に掲げていたが、その23倍となる23万人(22年12月15日時点)に達している(特集第6回で紹介予定)。

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