
ビッグデータやAI(人工知能)を中心とするクラウド技術イベント「re:Invent 2022」の中で、マーケティングは重要テーマの1つ。会期4日目の「広告とマーケティング技術」をテーマにした講演では、プライバシーに配慮した脱クッキー時代のマーケ技術について詳細を説明した。
プライバシー保護の観点による脱サードパーティークッキーの動きが加速している。米アップルが2021年春からiPhoneに実装した「ATT(アップ・トラッキング・トランスパレンシー、アプリのトラッキングの透明性)」の影響によって、SNS(交流サイト)経由の広告配信のターゲティング精度が格段に落ちたというマーケターからの嘆きも多く聞こえてくる。こうした背景から、今後のデジタルマーケティングは自前のファーストパーティーデータをいかに活用するかが重要といわれている。
22年11月28日から開催された米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の「re:Invent 2022」の会期4日目、「広告とマーケティング技術」と題したセッションでは、プライバシー保護を重視した脱クッキー時代に向けたデジタルマーケティングについて説明があった。
「顧客が直面する最大の課題は『プライバシーとコラボレーション』に関するものだ」と、AWSで広告やマーケティング技術を統括するティム・バーンズ氏は説明した。AWSは、イベント会期中の22年11月29日、デジタルマーケティング業界の関係各社との連携に向けた方針「AWS for Advertising & Marketing」を発表している。150以上の広告代理店や関連システムの開発企業と推進するもので、その骨子は「データ管理」「広告の管理と計測」「広告プラットフォーム」「デジタルの顧客エクスペリエンス」「プライバシーとコラボレーション」の5つがある。
「データ管理」など最初の4つについては、AWSが提供する各種のクラウドツールが既に活用されている。コンピューターのサーバー機能を提供する「Amazon EC2」が06年に登場して以来、大規模データをミリ秒単位で処理するデータベースや機械学習のツールなど、広告のリアルタイム配信やマーケティングの計測や分析といった用途で、AWSのクラウドサービスは広がってきた。そうした歴史を振り返ったうえで、最後に残った課題である「プライバシーとコラボレーション」に取り組んでいく姿勢をバーンズ氏は示した。
元データを公開せずにデータ連係
同じく22年11月29日、同社は「AWS Clean Rooms」というサービスを発表している。消費者のプライバシー保護に配慮しながら、広告主と広告配信の支援企業との連携を効率化する機能を持っており、まさに骨子の5つ目「プライバシーとコラボレーション」を実現するためのツールとなる。23年初頭、日本を含む世界各国でサービス提供を予定している。講演ではその詳細を説明した。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー