
グッドパッチの「ReDesigner Design Data Book」は、デザイナーを巡る環境変化を如実に示す。最新の2022年度版で浮かび上がった現実を見ていく。デザインコンサルティング・ファームのトリニティ(東京・千代田)には、デザイナーの役割や活躍領域を広げていくための実践講座「DXD キャンプ」について聞いた。
デザイナーの価値を最大化する仕組みが必要
グッドパッチは、企業とデザイナーの関係などを調査した「ReDesigner Design Data Book」を公開している。回答企業の75%がIT・通信・インターネット関連企業だが、デザイナーが置かれた環境がつかめる。2022年11月に公開した22年度版について、同社の事業責任者である佐宗純氏に聞いた。
グッドパッチ ReDesigner事業責任者 兼Product Divisionシニアマネージャー
――調査の概要は?
佐宗純氏(以下、佐宗) 調査は2019年から行っており、グッドパッチと過去に取引があった企業など約100社にアンケートで聞いています。自社に採用したいデザイナーの職種について聞くと、デジタル化の流れを反映し、やはりUI(ユーザーインターフェース)デザイナー、UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナーが引き続き、上位を占めています。グラフィックデザイナーの需要も高いようです。21年度の調査と比べ、画面内でプロダクトのビジュアルを手がけるデジタルプロダクトデザイナーが9%から11%へ増加するなど、ネット上のユーザー体験をより重視する姿勢がうかがえます。また、企業がデザイナーに求める役割を尋ねると、「機能やコンセプトの整理」「ユーザーの声をプロダクトに反映していきたい」「プロダクトの課題抽出」が、21年度に引き続き期待されていることが分かりました。
Design Opsに注目
――今後はどんな傾向になりそうか。
佐宗 21年度に比べ、デザインマネジャーが在籍している企業が53%から66%と増加しています。インハウスのデザイン組織が増えた結果、マネジメントができるデザインマネジャーのニーズが拡大していることがうかがえます。また、デザイナー独自の評価システムを取り入れている企業が15%から23%に増加しています。企業経営にデザインを取り込もうとする傾向が強まっています。
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