
会計などのクラウドソリューションサービスを提供するマネーフォワードは、2021年11月に新たに独自のデザイナー評価基準を導入。ジョブスキルだけではなく、組織への貢献度でも評価されるという。その狙いと仕組みを聞いた。
新たなデザイナー評価基準は、2020年にマネーフォワードのCDO(チーフ・デザイン・オフィサー)に就任した伊藤セルジオ大輔氏が主導して作成したものだ。同社ではこの基準をつくる以前にも、独自に作成したデザイナー評価基準を導入していたが、今のものとは大きく違っていたという。
例えば「UI(ユーザー・インターフェース)デザインをつくれるようになる」「Web用バナーをつくれるようになる」など、プロダクトに必要なデザインができるかどうかといった、ジョブスキルにフォーカスしたシンプルなものだった。
22年現在、マネーフォワードには約70人のデザイナーが在籍するが、20年当時もすでに20人を上回っており、デザイナーの職種も多様化していた。すでにその頃から、デザイナー評価基準は現場の実態にそぐわないものになっていた。
「今は単にITのデジタルプロダクトをデザインするという、『できることベース』だけでは収まらないほど、デザインに求められる幅が広がってきている。例えば会社や組織のカルチャーをつくるところでもデザインが必要になっている」(伊藤氏)
今ではジョブスキルによる評価に加え、チームのスキルアップにつながるなど部や会社などの組織に貢献することや、同社が掲げる「MVVC(Mission Vision/Value/Culture)」の体現もデザイナーに求められるようになった。
MVVCの貢献度も評価
MVVCとは、マネーフォワードの経営トップが創業時から持っていた考えを基に、社員が目指すものとして、16年から策定していた行動指針。「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をMissionに、「すべての人の、『お金のプラットフォーム』になる。」というVisionを掲げ、これらの実現を目指す土台として、「User Focus/Technology Driven/Fairness」の3つのValueと、「Speed/Pride/Teamwork/Respect/Fun」の5つのCultureを定義している。
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