連載の第2回では、売れるサイトづくりを目指す「CRO(コンバージョンレート最適化)」に取り組むに当たり、事前に必要な3つの準備と、自社サイトの現状を把握するうえで優先的に分析すべき5つの指標を紹介した。第3回は、CROの効果をより高めるために、サイトの改善に活用できる4つのツールとその使い方を紹介する。
まずは「(1)競合サイトの分析ツール」から紹介しよう。代表的なツールがイスラエル発のデータソリューション「SimilarWeb(シミラーウェブ)」だ。同ツールは、数百万のWebサイトやアプリに組み込まれたSimilarWebの分析ソフトを通じて匿名のトラフィックデータを取得し、推計データとして提供する。キーワードなどを入力するだけで、競合他社のサイト訪問数や流入チャネルをリサーチできる。
Web上に公開されているオープンデータや、パートナーシップを結んでいる企業のデータも組み合わせて分析を行っているため、精度が非常に高い。もっとも推計データのため、実数値は異なるものの目安にはなるだろう。
競合と自社サイトのデータを比較することで、自社のサイトの強みや課題をより明確に認識できるようになる。とっかかりとしてはアクセス解析ツールで自社サイトのデータ分析を進めるべきだが、それを終えたら活用を検討してみるとよいだろう。
ページ内の閲覧箇所を色の濃淡で可視化
次に、自社サイトのページ単位で訪問者に見られている箇所を可視化できる「(2)ヒートマップツール」だ。その一例として「ミエルカヒートマップ」を挙げておく。デジタルマーケティング支援会社のFaber Company(ファベルカンパニー、東京・港)が提供する。自社サイトのソースコードに、ツールのJavaScriptタグを埋め込むだけでヒートマップ分析を始められる手軽さが魅力のツールだ。
ヒートマップの良い点は、サイト訪問者がページ内で取った行動のデータを基に、よく見られている箇所を色の濃淡で分かりやすく理解できることだ。本来であればWebページの改善には専門のスキルや経験が必要とされ、初心者には難易度が高い。しかし、ヒートマップであれば直感的に課題を発見できる可能性がある。
直帰率の高いページから優先的に分析
では、どのようなページをヒートマップで分析するとよいのだろうか。アクセス解析ツールのデータ分析の結果、直帰率や離脱率といった指標が際立って高いページから始めるのがお勧めだ。自社サイトのコンバージョンまでのカスタマージャーニーに基づき、離脱者が特に多いページでどのような消費者心理が働いているかの仮説を立て、ヒートマップで検証すると効果的だ。
ミエルカヒートマップの画面は、下図のようなものである。左から順に、サイト訪問者がページのどこをよく見ているかを示す「アテンションヒートマップ」、ページのどこまで読んでいるかを示す「スクロールヒートマップ」、どこをクリックしているかを示す「クリックヒートマップ」となる。
最初はスクロールヒートマップを見るといいだろう。特にファーストビュー(ブラウザーの最初の表示範囲)直下のスクロール率を確認してほしい。この部分のスクロール率は60%以上が望ましい。それを下回っていたら、すぐに対策を講じるべきだ。
ファーストビューを意識する人は多いが、その下にあるコンテンツにまで気を配らなければ、離脱率は改善しない。サイト訪問者がページを訪問した際に、ファーストビューの直下に期待している情報がなかったり、期待と異なるコンテンツがあったりすると、何を見ればいいかが分からなくなり、離脱につながりやすくなる。
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