第1回では、売れるサイトづくりにかかせない「CRO(コンバージョンレート最適化)」領域の課題は、「サイト離脱」と「フォーム離脱(かご落ち)」に集約されることを解説した。2回目となる本記事では、この2つの課題を解決するために必要な分析ツールや導入の手順、すぐに確認できる重要指標を紹介したい。多岐にわたるCRO施策を理解し、成果を上げるためのステップを丁寧に一歩ずつ解説していく。

(写真/Shutterstock)
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 「売れるサイトをつくるにはどうすべきか」。そんな相談をいただいたとき、筆者はクライアントとともに、3つの準備を行うことにしている。順に説明しよう。

 第1の準備は、使っているアクセス解析ツールのデータ分析だ。まず、サイトの現状を把握しなければ、何がコンバージョンを妨げているのかが判断できない。そこでアクセス解析ツールのデータを分析し、どのページ、どのタイミングで、どのような人が「サイト離脱」してしまっているのかを洗い出す。離脱箇所が分かれば、ページの内容からサイト訪問者のストレスの原因がどこにあるのか仮説を立てて、検証できる。これが解決の糸口を見いだす第一歩だ。

 第2の準備は、CROにつながるポイントの理解である。下図は、第1回の記事で紹介したサイト訪問者の購買ファネルについて、分析・実行ツールを対応させたものだ。特にCROへのインパクトが大きい3つのポイントを押さえることをお勧めする。

■CROに活用できる主なツール
CROに有効なツールを「集客」「理解」「購入」といった、Webサイトの購買ファネルに合わせて整理した。「継続」以降はCRM(顧客関係管理)に当たるため、今回は割愛した
CROに有効なツールを「集客」「理解」「購入」といった、Webサイトの購買ファネルに合わせて整理した。「継続」以降はCRM(顧客関係管理)に当たるため、今回は割愛した

CROに大きな影響を与える3つのポイント

 1つ目は、広告経由で商品ページに遷移した直後の段階だ。この段階では商品ページのファーストビュー(ブラウザーの最初の表示範囲)を改善するために、よく閲覧されている部分を可視化する「ヒートマップツール」の導入が一案になる。2つ目は、商品ページのコンテンツを読み始めた段階。商品の魅力をスムーズに理解できるように、「LPO(ランディングページ最適化)」ツールを活用して、商品理解が進みやすくするためにページの構成を改善する。3つ目は、興味が薄れて、離脱してしまいそうな段階だ。ポップアップなどで関心を継続させることのできる離脱防止ツールの導入が検討に挙がる。

 第3の準備は、具体的なCVR(コンバージョン率)の目標設定だ。多くのECサイトでは、商品ごとに売り上げや購入件数、会員登録数といったKPI(重要業績評価指標)があるはずだ。そうしたKPIを分解していくと、目標となるCVRが見えてくる。

 例えば、売り上げが最も重要なKPIであれば、現状の顧客単価から逆算することで、何人の顧客を獲得すればいいのかが分かる。その目標を達成するためには、CVRをどの程度の水準まで高めるべきかが決まる。もっとも、CVRは高ければ高いほどいい。しかし、現実的な目標を設定するためには、目標となるKPIから掘り下げていくべきだろう。

 アクセス解析ツールの共有、CROにつながるポイントの理解、CVR目標の設定。3つの準備が整ったら、いよいよ課題解決に進んでいく。鍵を握るのは、「サイト離脱」と「フォーム離脱(かご落ち)」の分析だ。

データでまず見るべき5つの指標

 まず、アクセス解析ツールを用いた「サイト離脱」の分析についてだ。「Google Analytics(グーグルアナリティクス)」は定番だが、多岐にわたる分析を無料で実施できるため多くの企業が導入している。しかし、あまりにも多機能で使いこなすことが難しく、どこから分析を始めればよいか分かりづらい面もある。そこで、筆者は「直帰率」「回遊率」「離脱率」「滞在時間」「読了率」という5つの指標をまずは分析してみることをお勧めする。

「Google Analytics」の管理画面の一例
「Google Analytics」の管理画面の一例
■サイトの離脱率の改善で見るべき5つの指標
さまざまなデータがとれるのがアクセス解析ツールの魅力だが、まずは「直帰率」「回遊率」「離脱率」「滞在時間」「読了率」という5つの指標から分析するといいだろう
さまざまなデータがとれるのがアクセス解析ツールの魅力だが、まずは「直帰率」「回遊率」「離脱率」「滞在時間」「読了率」という5つの指標から分析するといいだろう

 直帰率は、サイト訪問者がサイト内で最初の1ページだけ閲覧して離脱した割合を示している。この数字が高ければ高いほど、サイト訪問者は「想像と内容と違う」「欲しい情報がない」といったストレスを感じているということを表している。筆者の経験上、数字の目安としては、サイトのトップページであれば直帰率が50%を超えていると「要注意」、60%超なら「すぐにでも改善施策が必要」だと言っていい。ただし、キャンペーンや特集ページの場合は60~70%でも問題がないこともある。ページの役割ごとに判断していくとよい。

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