2022年5月に東京のお台場にオープンした「キラキラドンキ ダイバーシティ東京 プラザ店」。Z世代をターゲットにした「ドン・キホーテ」の新業態で、初日には300人が行列するほど話題になった。この店舗も含めて、全店舗のデザインを統括するのが二宮仁美氏だ。“ドンキといえば黄色と黒”という画一的なイメージを一新し、地域に根差す店舗を目指すイノベーターに話を聞いた。
※日経トレンディ2023年1月号より。詳しくは本誌参照

――SNSでも注目を集めているキラキラドンキは、どのようにして生まれたのでしょうか?
主力業態のマンネリ化が進み、特に都心の店舗ではお客さまにとって“とがった店”でなくなってきているという背景から、21年ごろから、「お酒ドンキ」や「お菓子ドンキ」などカテゴリーを切り出した店舗の展開を開始。次なる一手として打ち出したのがキラキラドンキでした。昭和レトロな空間が若年層にも受け入れられていたので、デザインコンセプトは、「令和版のニューレトロ」に設定。ネオン風の看板や装飾を施して、新しさとどこか懐かしさを感じてもらえる空間を目指しました。
あくまでもお客さまが主役になれるような店づくりを意識していて、今回は店舗のネーミングも重要視しました。経営層からは「女子ドンキ」や「乙女ドンキ」などという案も挙がっていたのですが、ジェンダー的な観点もありますし、もっとお客さまのマインドが高まるような言葉を付けたい。最終的には、あえてターゲットと同じZ世代の女性スタッフに決めてもらいました。
そうしたのには理由があります。特に若い世代にアピールするときに、企業側が“仕掛けている感”を出してしまうとシラケてしまうと思うのです。そのため、Z世代のアルバイトの意見を多く取り入れました。商品に付けるポップや手作り感のある装飾に関しても、同店の従業員の半数以上を占めるZ世代のリアルな声を最大限反映しています。扱う商品も、オープン当初こそ既存店で好調だったものが中心でしたが、現在は、彼女たちの感性に響かない商品であれば、本部が提案したものでも売り場には並びません。
コンセプトを明確にし、お客さまであるZ世代に共感してもらえる店づくりをすることで、他にはないとがった店舗になりました。来店者数、売り上げともに順調に推移していますし、キラキラドンキの人気を受けて、22年11月には同じくZ世代を対象にした「ときめきドンキ」を福岡・博多のドン・キホーテ中洲店の中のコーナーとしてオープンしました。
――これまで国内外問わず500店舗以上のデザインに携わっています。お客さまに足を運んでもらえる店舗デザインの秘訣はなんでしょうか?
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