開幕から30周年を迎えるJリーグ。順調に成長を続けてきたが、2022年3月に6代目チェアマンに就任した野々村芳和氏は、「変化が必要」と語る。重要なのは、海外に向けた放映権ビジネス。試合を「作品」と捉え、プレーやスタジアムの魅力を高いレベルに押し上げる考えだ。9年間で売り上げを3倍にした新たなリーダーに、今後のビジョンを聞いた。
※日経トレンディ2023年1月号より。詳しくは本誌参照
2023年、開幕から30周年を迎えるJリーグ。クラブ数は当初の「10」から22年度は「58」まで増え、営業収益でも順調に成長を続けてきた。それでもなお、22年3月に6代目チェアマンに就任した野々村芳和氏は、「変化が必要」と語る。前任の北海道コンサドーレ札幌社長時代、9年間で売り上げを3倍にした新たなリーダーに真意を聞いた。
22年はコロナ禍以前に比べ、入場者数は7割くらいまで戻せました。個人的にも1年かけて、リーグをどう成長させていくかという大きな方向性について、各クラブとコンセンサスを取ることができました。
Jリーグは設立以降、「地域密着」を掲げてきました。各クラブが地域で中心的存在になり、収益面でも成長するため、チェアマン就任後にまずJリーグのスタッフを全国各地のクラブに派遣する仕組みをつくりました。看板の設置などの泥臭い作業も含め一緒に汗をかくことで、新しくサポートすべきことや、ビジネスチャンスのヒントが見つかります。例えば、福島や富山などの5地域でローカル局などと連携し、22年10月からサッカー応援番組の放映を開始しました。
国内、地域での活動はもちろん大事。そのうえでJリーグがさらなる成長をするため、収益面で大きなチャンスがあるのは、海外に向けた放映権ビジネスだと考えます。
Jリーグの競技レベルは既にアジアではトップレベル。その中で各国のスター選手を獲得し、その国のサッカーファンにJリーグを“売り込む”取り組みなどはしてきました。数年前に比べるとその収益は数倍になっていますが、海外での放映権料が絶大な収入源になっている欧州のリーグに比べればまだまだ。言い換えれば、ポテンシャルがあります。
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