未来の市場をつくる100社【2023年版】 第16回

米麹(こうじ)由来の発酵糖分を使った食品を手がけるD2C(ダイレクト・ツー・コンシューマー)、オリゼ(旧アグクル、東京・目黒)が急成長している。砂糖不使用のグラノーラや米麹100%の甘酒、料理にかける発酵調味料などを販売。2022年4月の売り上げは前年同月比16倍以上になった。砂糖の摂り過ぎに気を使う消費者が世界的に増加する中、海外への展開も視野に入れる。

「オリゼ グラノーラ」は味の種類が豊富
「オリゼ グラノーラ」は味の種類が豊富

 「素朴な甘さが好き」「種類が多くて、毎日楽しみ」――。

 ネット上でこんな声が集まっているのが、米麹を使った「ORYZAE GRANOLA(オリゼ グラノーラ)」だ。オリゼの看板商品で、2021年10月の発売後、1年で30万食を売り上げた。毎日食べても飽きないよう、プレーンなどの定番7種類と期間限定のフレーバーを販売している。

 オリゼは18年5月に創業。味噌やしょうゆといった発酵食品の企業を研究していた小泉泰英最高経営責任者(CEO)が宇都宮大学農学部在学中に立ち上げた。きっかけは発酵や米麹の認知度が高い割に、消費量が伸びていないと気づいたことだ。

小泉CEOは「オリゼという独自の原料を持っているのが強み」と話す
小泉CEOは「オリゼという独自の原料を持っているのが強み」と話す

 麹や甘酒が体に良いことはよく知られているが、現代人が継続的に摂取するのは難しい。「日常生活に米麹をもっと簡単に取り入れられないか」。思案を巡らす中、生まれたのが発酵糖分「ORYZAE(オリゼ)」だ。

 オリゼは麹菌を生やした蒸し米に加水・加温することで甘みを引き出し、生まれたものだ。メープルシロップと同じくらいの甘さで、カロリーは砂糖と比べて2分の1。砂糖の60倍のミネラルを始め、350種類以上の栄養素が含まれている。

 古米を捨てずに低温で保存し、鮮度を保ったまま食品に活用しているため、フードロスにもつながる。この発酵糖分を使い調味料などを販売していたが、より手軽に食べてもらうためグラノーラを開発。「米麹に興味はあるが、毎日とるのは大変」だと考えていた消費者に受け入れられた。

オリゼが目指す「五方よし」
オリゼが目指す「五方よし」
社名:オリゼ(旧アグクル、東京・目黒)
設立:2018年5月
製品/サービス:発酵食品の製造小売業、インターネット販売
市場:砂糖の摂り過ぎを心配する人や手軽な「腸活」を求める客に対して米麹由来の発酵糖分を使った食品を提供

ヒットのきっかけは“デパコス”化

 当初はECを中心に販売していたが、日本における食品・飲料のEC化率が5%にも満たない中、成長を続けるためにはリアル店舗での販売が必要不可欠だと判断。どういった場所で販売したいか考える中でヒントになったのが、高価格帯から安価なものまでそろっている化粧品の存在だ。「オリゼはプチプラより『デパコス』のようなブランドになる必要があると思った」(小泉CEO)

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