未来の市場をつくる100社【2023年版】 第14回

企業に届く郵便物をデータ化し、どこからでも管理できるサービス「atena(アテナ)」を提供するatena(アテナ、東京・中央)が、急拡大の兆しを見せる。2022年12月14日、日本郵政グループと資本提携を発表。郵便事業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を目指すベンチャー企業と郵便インフラが手を組むことで、郵便DXがさらに加速する可能性を秘める。

郵便物をデータ化するサービス「atena(アテナ)」が、郵便のDX化を加速する(写真/Shutterstock)
あの重要な書類はどこへいったんだ――。そんな悩みをなくす、郵便物をデータ化するサービス「atena(アテナ)」が急拡大の兆しを見せる(画像/Shutterstock)

 郵便物を確認するためだけに出社する――。そんな働き方の撲滅を目指すのが、企業に届く郵便物をデータ化して管理できるサービス「atena」だ。主に企業向けのサービスで、郵便事業のDX化を推進するatena(東京・中央)が2020年5月にリリースした。

 当時は新型コロナウイルス感染症が拡大し、多くの企業がテレワークに移行し始めたタイミング。郵便物をスキャンしてどこからでも確認できる利便性に企業から注目が集まり、郵便物の取扱数は毎年倍増。22年12月中旬にも累計18万通を突破する見込みだ。

■atena(アテナ)
Atenaのサービス画面。郵便物の一覧が表示される
社員一人ひとりに与えられる「郵便ボックス」のメニューは、メールのようなUI(ユーザーインターフェース)。郵便物ごとに表示が分かれ、送り主、宛先などが一目で確認できる

 atenaを真っ先に導入したのはZOZOグループだった。以降、導入企業は増え続け、22年11月末時点で約190社。内訳は、6割がスタートアップ、エンタープライズ企業と国内外の上場企業がそれぞれ1割と続く。23年度に500社、25年度に1000社への導入をもくろむ。

 「契約書の電子化には課題感があるのに、郵便物の電子化は重要視されてこなかった。受け取った書類が見当たらない、未開封の書類が意見の食い違いを生む、といったビジネスシーンの無駄を減らし、郵便物をデータ化して管理することを1つのスタンダードにしたい」とatena CEO(最高経営責任者)の白髭直樹氏は語る。

社名:atena(アテナ、東京・中央)
設立:2020年5月
製品/サービス:郵便物をデータ化し、管理できるサービス「atena(アテナ)」
市場:郵便のDX化
カテゴリー『SDGs・ESG』

日本郵政と提携。ノウハウ×インフラで郵便DXが急加速

 atenaはさらなるサービス拡大を狙い、22年12月14日、日本郵政の子会社である日本郵政キャピタルと資本提携を行うことを発表した。日本郵政グループは21年7月、郵便事業のDXを推進する子会社「JPデジタル」を設立したものの、思うような成果が出ていない。郵便事業のDXノウハウを持つatenaと、国内の郵便インフラを持つ日本郵政グループが協力することで、郵便DXを一気に加速させる狙いがある。

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