
「イヌパシー」はセンサーで取得した犬の心拍情報から「ハッピー」「ストレス」といった心の状態を推測、表示するデバイスだ。2022年、新たに開発された首輪型は、心拍データだけではなく行動記録の変化を追うことで、愛犬が「どんなときにどんな気持ちなのか」を読み取れるようになった。先行予約受付のクラウドファンディングでは目標額の721%を達成し期待がかかる。
今日は一日中、愛犬がソファの上でじっと座ったままでおとなしい……。そんな様子を見ながら、元気がないのか、大丈夫かと気になってしまうときがあるだろう。「犬の気持ちが分かったらいいのに」という飼い主の願望をかなえたのがラングレス(東京・墨田)の手掛けるイヌパシーだ。
イヌパシーは、犬の心拍情報を解析して「リラックス」「ドキドキ(興奮)」「ハッピー」「興味」「ストレス」の感情を緑、オレンジ、レインボー、白、紫の5色の発光ダイオード(LED)で表示する。犬の気持ちを読み解くデバイスは、22年11月時点で国内唯一だという。
ラングレスでは、18年に発売した胴回りに装着するハーネス型「イヌパシー」を軽量化し、簡単に装着できる首輪型の「イヌパシー・カラー」を22年に開発。先行予約受付のクラウドファンディングでは目標額の721%を達成した。23年春からは、一般販売を予定している。イヌパシー・カラーは、心の動きを首輪でセンシングするだけではなく、加速度センサーを内蔵し日々の運動量や睡眠時間など活動の記録ができるようになった。
「例えば今日はどの程度リラックスしているのか、ストレスを感じているのか、お散歩は十分なのかを専用アプリのグラフから一目で確認できる」(CEOの山入端佳那氏)。留守中の様子も専用アプリでモニタリングできるので、ストレスが高めの日にはいつもより長い散歩に連れて行くなど、愛犬の心身をケアするのに役立つ。また、記録された心拍データと行動ログを見ながら、「ここ数日間、睡眠時間が少なく興奮気味の状態が続いているようだ」など、普段と違う変化にも気付きやすくなるという。
設立:2015年2月
製品/サービス:犬の気持ちを心拍データから読み解くIoTデバイス「イヌパシー」
市場:データや技術を活用し、ペットとの暮らしやペットの健康を向上させる「ペットテック」

心拍データから心を読み解く特許を日米で取得
開発を手掛けたのはCTOの山口譲二氏だ。動物行動学の修士課程を経てソフトウエア開発会社でシステムエンジニアの仕事をしていたが、当時、家に迎え入れた愛犬の気持ちがなかなか分からなかった。自分があげたご飯を食べてくれず、散歩では思わぬ方向に引っ張られてしまう。どうすれば仲良くなれるのか。言葉を発しない犬の気持ちを理解できないかと着目したのが心拍だった。以降、7年の研究開発期間を経て18年に発売したのがイヌパシーだ。
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