2022年12月2日発売の「日経トレンディ2023年1月号」 ▼Amazonで購入する では、「2023-2030大予測」を特集。現実と仮想を融合させて映像を撮影する「バーチャルプロダクション」対応のスタジオが増えつつあり、特に、巨大な「LEDウォール」にリアルな3DCGの背景を映し出す方式が注目される。実際の風景に溶け込むような状態を作れる「リアルタイム性」を生かした、新たなライブコンテンツも生まれている。
※日経トレンディ2023年1月号より。詳しくは本誌参照

【こんな未来に!】劇的没入感のスタジオでライブ配信が激変!
現実と仮想を融合させて映像を撮影する「バーチャルプロダクション」対応のスタジオが増えつつある。特に注目されているのが、巨大な「LEDウォール」にリアルな3DCGの背景を映し出す方式だ。カメラの動きに合わせて背景の奥行きや傾きが変化し、まるでロケ地にいるような撮影が可能になる。2022年2月には、ソニーPCLが対応スタジオ「清澄白河BASE」を開設。幅15.2メートル、高さ5.4メートルのLEDウォールを導入し、CMやドラマなどの撮影で活用している。東映も巨大LEDウォールを備えるスタジオの新設を発表するなど、国内でも撮影拠点が増え始めている。
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バーチャルプロダクションの知名度を一気に上げたのが、19年から日本でも配信が開始された『スター・ウォーズ』シリーズのドラマ『マンダロリアン』だ。「撮影シーンの多くがLEDウォールを活用して行われていたことに多くの映像関係者が衝撃を受け、次世代の撮影手法として広まり始めた」(デロイト トーマツ グループ シニアコンサルタントの辻田慶太郎氏)
特筆なのが時間や場所の制約がないこと。背景データさえあれば、どんな場所、時間帯でもスタジオで再現できる。ロケ地への移動や天候によるスケジュール調整がなくなり、俳優やスタッフの拘束時間を少なくできコストダウンにもつながる。
LEDパネルの低価格化など、機材のコストが下がっていることも普及を後押しする。画像処理を行うGPUの高機能化はもちろん、3DCGを生成するアンリアルエンジン(エピックゲームズ)などゲームエンジンの描画力の進化も大きい。
LEDウォールを使うバーチャルプロダクションでインパクトが大きいのが「リアルタイム性」。グリーンバックを使う従来のクロマキー合成とは異なり、カメラには被写体と3DCGの背景が映る。どんな風景かが分かるため、演者も感情移入しやすい。衣服などにLEDの光が映り込み、実際の風景に溶け込んでいるような状態を作れるのも利点だ。
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