続・文系マーケターのための統計入門 第2回

文系マーケターのための統計入門、冬のラウンドがいよいよスタート。前回は「基礎編」となる夏の講義をざっとおさらいした。今回は「発展編」で取り上げる「回帰分析」「分散分析」「因子分析」「コンジョイント分析」の紹介と、無事ゴールまでたどり着いた読者がマーケターとしてどれくらい成長できるのかについて、講師である法政大学経営学部の西川英彦教授に解説してもらった。

とりあえずこれも聞いておこうと、無駄な質問を増やしていませんか? どういう分析をするか分かっていないと正しいリサーチはできません ※画像はイメージ(画像提供:Naumova Marina/Shutterstock.com)
とりあえずこれも聞いておこうと、無駄な質問を増やしていませんか? どういう分析をするか分かっていないと正しいリサーチはできません ※画像はイメージ(画像提供:Naumova Marina/Shutterstock.com)
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回帰分析は予測、分散分析は3つ以上の比較が可能

――前回の話で「どんなデータを取って、どの検定や分析を使えば、どのようなことが検証できるか」をイメージできるようになることが、統計的手法を実務に生かすのに必要不可欠なことは分かりました。そうなると、どうしても今回、新たに取り上げる統計的手法を使えばどのようなことが分かるのか、ざっとでもいいので知りたくなります。

西川英彦教授(以下、西川) 発展編となる今回の講座では、最初に「回帰分析」を解説しようと思います。この手法を使うと、様々なことが検証できるのですが、マーケティングの実務で最も活用されるのは何かの「予測」をする場合です。

――予測ですか?

西川 例えば、ドリンク商品を新発売するに当たり、過去に販売したドリンクの味に対する評価データを回帰分析すると、新発売するドリンクの味の評価を基にして、どれくらいの販売数が見込めるか予測できるのです。

――新製品の売り上げ予測ができたら、マーケティングに役立つのはもちろん、欠品や余剰を最小限に抑える生産調整の参考にもなります。他にはどんなことが予測できるのですか。

西川 回帰分析では複数の変数を入力できます。例えば営業担当者を検証する場合、社内の全営業担当者の過去データから取引先への訪問頻度、訪問時間、専門能力といった「量的変数」のデータを複数入力し、営業成績と合わせて回帰分析すれば、各営業担当者のデータを入力するだけで、その人の営業成績を予測することもできます。

――それはすごい!

西川 ただ、入力する条件が多ければ多いほど、必要となるサンプルデータの数も大きくなります。しかし、ある程度の精度で予測できる非常に便利な統計的手法ですから、マーケティングの現場ではよく使われています。

――次の「分散分析」では、どんなことが分かるのですか。

西川 分散分析は質的変数と量的変数の関係、例えば2つの対象の平均値を比べた場合、その差に統計的な意味があるかどうかを検証する手法です。

――t検定でも質的変数と量的変数を検証できましたよ。

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