※日経エンタテインメント! 2022年11月号の記事を再構成

現在放送中のドラマ『君の花になる』に登場するボーイズグループ「8LOOM(ブルーム)」は、活動のフィールドが異なる7人が期間限定で結成したユニットだ。そのメンバーに話を聞く特集で、最初に登場するのは、連ドラ『最愛』(21年)などで、若手俳優として頭角を現してきた高橋文哉(たかはし・ふみや)。『君の花になる』では、8LOOMのセンターの佐神弾(さがみ・だん)を演じる。高橋にとっては歌もダンスも初挑戦で、昨年10月のオーディション以降、レッスンを重ねてきた。この作品に懸ける思いとは?

佐神弾を演じる高橋文哉
佐神弾を演じる高橋文哉
ドラマ『君の花になる』
本田翼が演じる挫折を経験した元高校教師の仲町あす花が、あるきっかけで崖っぷちの7人組ボーイズグループ「8LOOM(ブルーム)」の寮母となり、彼らと一緒に“トップアーティストになる夢”に向かって進んでいく物語。高橋文哉、宮世琉弥(みやせ・りゅうび)、綱啓永(つな・けいと)、八村倫太郎(はちむら・りんたろう)、森愁斗(もり・しゅうと)、NOA(のあ)、山下幸輝(やました・こうき)の7人で構成される8LOOMは、放送と連動してリアルでも活動。9月21日に1stシングル『Come Again』、10月19日に2ndシングル『君の花になる』、11月9日に3rdシングル『Melody』を配信リリースした。11月23日には4thシングル『HIKARI』が配信リリースされる。放送中/火曜22時/TBS系
放送と連動してリアルでも活動する8LOOM。11月9日には3rdシングル『Melody』を配信リリースした
放送と連動してリアルでも活動する8LOOM。11月9日には3rdシングル『Melody』を配信リリースした

 不安を抱えたまま挑んだ作品でしたが、恐怖心みたいなものがなくなってきて、楽しさややりがいに変わってきました。「不安」や「恐怖」って、普段作品を振り返るなかでもめったに出てこない言葉で。それほど、僕もこの作品に懸ける思いが強くあって、やるからには成功させたいという気持ちで走ってきました。

 8月31日に、初めて8LOOMとして公開収録のステージに立った時の景色は鮮烈でしたね。僕は佐神弾として、今ここにいるんだなと思えて、それまでの不安が全部吹っ飛びました。お客さんに盛り上がってもらえて、ちょっとだけ肩の荷が下りたというか。もっと弾らしく、弾なりの向き合い方をしていこうと気持ちを新たにしました。

 ボーカルレッスンは……かなり頑張りましたかね(笑)。高校生の頃はカラオケに誘われても、絶対に行かなかったんですよ。唯一、僕の歌声を知っている同級生と最近カラオケに行ったんですが、「マジで歌うまくなったな」って。そういうのも自信になって、だんだん人前で歌うことに抵抗がなくなってきました。

 正直に言うと、1stシングル『Come Again』のレコーディングは初めてのことばかりで、自分が何をしてたかも覚えていないんです。出来上がったものを聴いて、「こういうことだったのか」と少し記憶が戻るくらい。ドラマでは弾が書いた設定なので、第1話では「誰でも良い時ばかりじゃない」という歌詞の一部を、セリフで言うシーンもあるんですね。そういう意味では、うまいとかヘタというより、弾としてこの曲に向き合って、歌っていくべきだなと思っています。

 振り付けのReiNa先生はめちゃくちゃカッコいいです。あと、ダンスって楽しいんだなって。8LOOMのメンバーにもダンスに魅了されてる人が何人もいますが、すごく分かる。こんな感情を抱けるとは、自分でも意外でした。

全員個性が際立っている

――宮世琉弥とは配信ドラマ『僕らが殺した、最愛のキミ』(21年)で共演しているが、他のメンバーとは初対面だった。関係性を築き、今ではリラックスした雰囲気で撮影にも臨めているという。

 みんな個性豊かですね。琉弥は僕より3つ下ですが、それを感じさせない部分があって。最年少だけどすごく頼りになるんですよ。(綱)啓永は根っから明るい。一緒にいたいと思えるし、こういう人の周りに人は集まるんだなって。僕は人のことを“ちゃん”付けではほとんど呼ばないんですが、(八村)倫太郎だけは“倫ちゃん”がしっくりくる(笑)。倫ちゃんの真面目さとかわいらしさは唯一無二だし、頼られるタイプですが、自分も素直に人に頼れるところが素敵だなって。

 (森)愁斗は空気が読める人。僕が1人でいるところにコソコソっと来て、「何してんの?」とか言ってくるかわいらしさもあります。NOAは、自分のやりたいことが明白で、僕も学びたいと思う部分がたくさん。お芝居が初めてだからと、変にこわばることなく演技のことを僕に聞いてきてくれて、うれしかったです。(山下)幸輝は人懐っこいです。僕とお芝居するのは「緊張する」って言うくらい、他の作品も見てくれていて。そんな幸輝がお芝居で悩んでいる時に、少しでも手助けできることがうれしいし、楽しい。すごく僕の原動力になっています。

 今ドラマの撮影をしていますが、ダンスレッスンとはまた違った空気感。いい意味で慣れてきて、お芝居のことでもコミュニケーションは取れています。

 この作品は、8LOOMというグループがドラマと連動してデビューする軸と、もう1つ、(本田)翼さん演じるあす花と弾のラブストーリーという軸もあるんですよね。ボーイズグループをテーマに恋愛を描くっていう覚悟もすごいなと思いましたし、きっといろんな人に寄り添えるドラマになると思うので、この2つの軸をぜひ楽しんでほしいです。

高橋文哉
たかはし・ふみや 2001年3月12日生まれ、埼玉県出身。19年に『仮面ライダーゼロワン』の主演で俳優デビュー。今年は、映画『牛首村』や連ドラ『ドクターホワイト』『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』などに出演。日経エンタテインメント! 本誌にて『未来へのスイッチ』連載中

(写真:橋本勝美)

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