メタバースやクリエーターエコノミーからロボット、宇宙テックまで、次代を担うテーマが続々。ベンチャーキャピタル(VC)を訪ねる連載の第8回。グローバル規模でスタートアップ支援を行う独立系ベンチャーキャピタルのグローバル・ブレイン(東京・渋谷)の創業者でCEO(最高経営責任者)の百合本安彦氏が、注目する業界や企業、最新事情を解説する。
グローバル・ブレインCEO 代表取締役社長
デジタル経済が広がる中、足場となるメタバースに注目
――まずは、スタートアップ業界の現状の分析を。
百合本安彦氏(以下、百合本) 今はちょうどリーマンショックのときと同じような状況であると考えています。当時、混乱の中で社会的なペイン(課題)が明確になり、フィンテックという新たなジャンルが生まれると同時に、SlackやUber、Airbnbなど今ではグローバルを代表するスタートアップが続々と登場しました。
また、大企業の中で優秀な人材が外に飛び出し、自分のビジョンや使命感に基づき起業する動きが多く見られるのも、こうした混乱期の特徴です。コロナ禍を経て、同様の現象が国内外で巻き起こっており、将来の日本を代表するような企業が誕生する可能性が十分にある時期であるといえます。
――そんな状況の中で注目しているジャンルは。
百合本 注目領域はメタバースです。そして、この領域で日本で多くの実績を積んでいるといえるのが、クラスター(東京・品川)。既に音楽ライブ、スポーツ、テーマパーク、企業イベントなど多くのユースケースを創出しており、リアルの街を再現した「バーチャル渋谷」、ポケモン、ディズニーなどの著名IP(知的財産)とのコラボ、官公庁との連携など、多様な事例を生みだしています。イベントへの総動員数は2000万を突破し、グローバルでも最前線を走っています。
2022年9月には、メタバース上でユーザーが自作のアイテムを売買できるストアをオープン。クリエーターによるアバターの展示即売会が行われるなど、様々なユーザーが流入して広がりを見せています。今後、こうした個人向けのサービスの大幅なアップデートを予定しており、23年はさらなる飛躍を遂げそうです。
――クリエーターがネット上で収益を得る、クリエーターエコノミーも市場が伸びています。
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