注目のスタートアップやジャンルをVC(ベンチャーキャピタル)が解説する本連載。第4回はコンシューマー向けサービスに強い朝日メディアラボベンチャーズ(東京・中央)のパートナー、山田正美氏が有望なジャンルや企業を解説。群雄割拠のマーケットで勝ち組となったスタートアップの次の一手とは。
朝日メディアラボベンチャーズ パートナー
――国内で動きが気になっている領域は。
山田正美氏(以下、山田) 大枠でいえば、ディープテックとフィンテックのスタートアップが、日本でもようやく大きな資金調達をできるようになった点に注目しています。前者では、核融合の研究と開発を行う京都フュージョニアリング(京都府宇治市)や衛星データを利用したサービスを提供するSynspective(シンスペクティブ、東京・江東)などが大型調達を実施しました。
後者でも、法人支出管理サービス「バクラク」を展開するLayerX(レイヤーエックス、東京・中央)、支出管理サービス「家計簿プリカB/43」を運営するスマートバンク(東京・品川)、法人カードを提供するUPSIDER(アップサイダー、東京・港)、スマホを利用した次世代型クレジットカードを展開するナッジ(東京・千代田)などが、いずれも大型の資金調達を行っています。
ディープテックとフィンテックの領域に関しては、米国では随分以前から先行して資金が集まり、フィンテックなどはむしろ落ち着いている状態。その流れがワンテンポ遅れて日本にもやってきた印象を受けています。
――フィンテックの決済関連のサービスは大手の独壇場に思えますが、スタートアップの強みは。
山田 決済だけでなく、付随するもろもろのサービスをセットで提供している点でしょうか。例えば、前述のスマートバンクは、2人で共有できるペア口座専用のプリペイドカードを発行し、夫婦やカップルの家計管理をしやすくしているのが特徴です。つまり、決済だけでなく、前後の行動が非常にスムーズになるのがポイント。こうして決済周辺の体験を便利にする切り口は他にも何パターンかあり、スタートアップにとってはまだチャンスがある領域といえるでしょう。
成長サブスク系スタートアップの次なる一手とは
――以前から注目されてきたスタートアップが、さらなる成長を遂げている事例も見られるようになっています。
山田 代表格が、犬種や体形、行動量などによる診断結果を基にしたフレッシュペットフード「PETOKOTO FOODS(ペトコトフーズ)」をサブスクリプション(定額課金)形式で提供するPETOKOTO(東京・新宿)です。
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