2022年11月4日発売の「日経トレンディ2022年12月号」 ▼Amazonで購入する では、「2022年ヒット商品ベスト30」を特集。6位に「炭酸飲料対応ボトル」が選ばれた。好きな炭酸飲料を冷たいまま手軽に持ち運べるボトルが2022年に大きく伸長し、約36万本の市場が誕生した。タイガー魔法瓶やサーモスなど、自社の人気商品で培った技術をボトルに応用。大手国内メーカー製である“安心感”も消費者の心をつかんだ。
※日経トレンディ2022年12月号より。詳しくは本誌参照
炭酸飲料対応ボトル
国内メーカーの保冷ボトルがついに炭酸対応 外出ムードも後押しし約36万本の市場が誕生
いつでもどこでもマイボトルを開けて「プシュ!」。好きな炭酸飲料を冷たいまま手軽に持ち運べるボトルが2022年に大きく伸びた。
1月に発売されたタイガー魔法瓶の「真空断熱炭酸ボトル」シリーズは、発売から3カ月で出荷数10万本を達成し、目標を当初の3倍に当たる30万本に上方修正。発売半年で約16万本の出荷を記録した。続く3月にはサーモスも「保冷炭酸飲料ボトル」シリーズで参戦。発売から半年で、当初の販売計画の2倍となる20万本以上を出荷するヒットとなった。
エコやSDGsなどの観点から、若年層を中心にマイボトルを持ち運ぶことが浸透している。しかし、従来のボトルの多くはキャップや蓋などの破損や破裂の恐れがあるという安全性の観点から、炭酸飲料を入れることが推奨されていなかった。
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「マイボトルで冷たい炭酸飲料も持ち運びたい」。そう願っていたユーザーがタイガー魔法瓶やサーモスの商品に発売と同時に飛び付き、人気に火がついた。3月からの半年間で約4400本を販売したロフトの担当者は、「単価が高めの商品にもかかわらず売れたというのは、炭酸飲料を持ち運びたいニーズがそれだけ大きかったということ」と話す。
両社ともボトル内の炭酸の圧力を逃す構造を独自に開発しているが、タイガー魔法瓶は「圧力IHジャー炊飯器」、サーモスは「スープジャー」など、自社の人気商品で培った技術を炭酸飲料対応ボトルに応用。大手国内メーカー製である“安心感”も消費者の心をつかんだ。
ヒットの背景として無視できないのが炭酸飲料ブームだ。全国清涼飲料連合会の調査によると、国内における炭酸飲料の生産量はここ数年好調に推移している。例えばアサヒ飲料の「ウィルキンソンタンサン」シリーズは、14年間連続で売り上げ実績を更新。21年は過去最高となる年間3000万ケースを突破した。「新型コロナウイルス禍では健康志向の高まりやストレスによるリフレッシュニーズなどで無糖炭酸飲料の需要がさらに増加。30年には欧米のようにミネラルウォーターと同程度の飲用経験率まで伸びて市場規模も拡大すると見込んでいる」(アサヒ飲料)。22年3月には全国的に行動制限が解除。コロナ禍で日常的な存在となった炭酸飲料を外出時にも持ち運びたいという需要にも合致した形だ。
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