2022年11月4日発売の「日経トレンディ2022年12月号」 ▼Amazonで購入する では、「2022年ヒット商品ベスト30」を特集。1位に「Yakult1000/Y1000」が選ばれた。22年4月ごろから全国の店頭で入荷のたびに“瞬間蒸発”する社会現象となり、累計で10億本近くが売れた。ヒットの原点にあるのが、販売員(ヤクルトレディ)による地道な草の根活動。実際に買った人が、睡眠改善に効果があると感じてリピート買いするという流れが生まれた。

※日経トレンディ2022年12月号より。詳しくは本誌参照

2022年ヒット商品の1位は「Yakult1000」と「Y1000」
2022年ヒット商品の1位は「Yakult1000」と「Y1000」

「Yakult1000/Y1000」

 「悪夢で噂のYakult1000、探していたけど、やっと買えた!」――。1本150円前後の乳酸菌飲料が、2022年に異次元の広がりを見せた。

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 腸活目的で手に取る人が多かった乳酸菌飲料の世界で、「悪夢を見るほどぐっすり眠れるらしい」という評判が雪だるま式に広まり、「Yakult1000」と「Y1000」が大ヒット。22年4月ごろから全国の店頭で入荷のたびに“瞬間蒸発”する社会現象となった。19年10月にエリア限定で発売を開始して以来、累計で10億本近くが売れた。

■「Yalult1000」地道な草の根活動が実を結ぶ
22年4月以降の1日当たりの販売本数は、20年4月?21年3月に比べると4.2倍になった(ヤクルト調べ)
2022年4月以降の1日当たりの販売本数は、20年4月〜21年3月に比べると4.2倍になった(ヤクルト調べ)
■「Y1000」
22年7月に増産が始まると、直後に売り上げが前月比1.6倍(千人当たり金額で算出)に。注)日経POSによる、Y1000(1本、6本パック)の売り上げの推移
2022年7月に増産が始まると、直後に売り上げが前月比1.6倍(千人当たり金額で算出)に。日経POSによる、Y1000(1本、6本パック)の売り上げの推移

 Yakult1000/Y1000の特徴は、同社が過去に発売したヤクルトシリーズで最高の配合率となる1本当たり1000億個の乳酸菌シロタ株が入っていることにある(100ミリリットル入りのYakult1000の場合)。これは製品名の由来にもなっており、1999年発売の「ヤクルト400」(80ミリリットルで400億個)と比べると、1ミリリットル当たりの乳酸菌量が2倍。同社の検証によれば、高密度な乳酸菌を体に取り込むと、ストレスが和らぐと同時に、深い眠りの「ノンレム睡眠(ステージ3)」の時間が延びるなど睡眠の質が改善する効果が期待できるという。

熟眠時間と熟眠度が増加して睡眠の質が向上すると訴求
■熟眠(深い眠り)時間
注)ヤクルト本社の検証による、Yakult1000飲用時の睡眠の質の変化。試験を控えた医学生でテストしている
注)ヤクルト本社の検証による、Yakult1000飲用時の睡眠の質の変化。試験を控えた医学生でテストしている
■熟眠度(デルタパワー)
注)ヤクルト本社の検証による、Yakult1000飲用時の睡眠の質の変化。試験を控えた医学生でテストしている
注)ヤクルト本社の検証による、Yakult1000飲用時の睡眠の質の変化。試験を控えた医学生でテストしている

 ヒットの原点にあるのが、当初展開した、販売員(ヤクルトレディ)による地道な草の根活動だ。21年9月までは宅配用の「Yakult1000」の販売のみ。それまでは、ヤクルトレディが家庭やオフィスに宅配する際に客へ丁寧に説明していった。そこから、実際に買った人が、効果を実感してリピート買いするという流れが生まれた。その後の21年10月、店頭販売用の「Y1000」を全国発売。話題の商品としてステップアップしていった。

 睡眠効果でYakult1000/Y1000が一躍人々の注目を集めるきっかけをつくった一人がタレントのマツコ・デラックスだ。あるバラエティー番組で22年4月、Yakult1000を継続的に飲むようになってから眠りの質が改善したと発言。影響は大きく、番組放映の翌週にGoogleでの検索量が急上昇。そこに拍車をかけたのがSNSなどでの「悪夢を見る」という噂だ。実際に飲んで熟睡できた体験を、「悪夢」というキーワード付きで投稿する人が続出した。

眠りの質が改善したとするタレントのマツコ・デラックスの発言で人気に火が付く
眠りの質が改善したとのタレントのマツコ・デラックスの発言で人気に火が付く
セ・リーグ連覇のスワローズの人気マスコットもPR
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テレビCMには各界の第一人者を起用。睡眠の大切さを訴求
テレビCMには各界の第一人者を起用。睡眠の大切さを訴求。写真はCMキャラクター発表会の様子

 結果として、真偽を確かめてみたいと興味を持った人もYakult1000/Y1000の争奪レースに次々と参戦。品薄状態が飢餓感をさらにあおり、街中で宅配中のヤクルトレディや、Yakult1000が買えるようになった自販機を確認して回る人や、フリマアプリでの転売商品へ手を出す人も現れた。

Yakult1000が買える各地の駅や店舗に置かれたヤクルトの自販機にも人々が殺到した。画像はイメージ
Yakult1000が買える各地の駅や店舗に置かれたヤクルトの自販機にも人々が殺到した。画像はイメージ

 これほどの〝騒ぎ”になった背景としては、日本人が慢性的な睡眠不足に悩まされていることも挙げられる。経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分。OECD加盟国全体での平均は8時間24分であり、日本が最も短い。この認識が広まったこともあり、時間が短いなら少しでも質を上げたいと考える人が増加。リカバリーウエアなど睡眠関連グッズは人気を集め、睡眠関連市場は1兆6200億円規模に伸長している(調査会社シード・プランニング調べ)。1本150円前後のYakut1000は、その点では超高コスパという印象もあっただろう。

 「ストレス社会といわれる現代、睡眠に関する悩みは大きな社会課題。乳酸菌シロタ株によって生まれる効果が、ニーズにマッチした」(ヤクルト本社)。波及効果で他の乳酸菌飲料の売れ行きも伸びており、ヤクルト本社は年内に再度Y1000の増産に踏み切る。ブームは当面続きそうだ。

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