リテールメディア大研究 第5回

広告主となるメーカーとして、いち早くリテールメディアの活用に取り組み始めているのが、製油メーカーの日清オイリオグループだ。同社は2021年11月から12月にかけて、複数のスーパーマーケットのアプリに広告を配信したところ、広告接触の有無で対象商品の購入率に15倍の差が出たという。小売りを通じて商品を販売するメーカーは従来、広告接触が購買に与えた影響を直接分析するのは難しかった。一方、リテールメディアでは広告に接触した層が実際に商品の購入に至ったのかどうかが分かる。それが、これまでのデジタル広告とは異なる利点だ。

日清オイリオグループは2021年11月から12月にかけて、卵不使用の調味料「マヨドレ」の広告配信にリテールメディアを活用した
日清オイリオグループは2021年11月から12月にかけて、卵不使用の調味料「マヨドレ」の広告配信にリテールメディアを活用した

 「もともとの販売数が少ない点を考慮する必要はあるが、正直なところ、ここまで差が出るとは思っていなかった」

 日清オイリオグループ食品事業本部商品戦略部ホームユース課の安田紗希氏は、リテールメディアの威力に驚きを隠せない。同社は2021年11月から12月にかけて、初めてリテールメディアを通じた広告配信を実施した。その結果、広告接触の有無で商品の購入率に15倍という驚異的な差が出た。

 広告で訴求したのは、卵不使用の調味料「マヨドレ」だ。マヨドレは、「卵を使っていないのにマヨネーズのようなおいしさ」が特徴の商品。商品の対象顧客層は明確だ。マヨネーズは好きだが、卵が苦手だったり、健康面を気にしていたりする層だ。

マヨドレは、「卵を使っていないのにマヨネーズのようなおいしさ」が特徴の商品
マヨドレは、「卵を使っていないのにマヨネーズのようなおいしさ」が特徴の商品

 マヨドレは日清オイリオグループにとって注力商品で、かつ商品の便益ははっきりしている。「顧客にしっかりと特徴を伝える必要がある商品」と安田氏は説明する。いかにして、対象層に商品の持つ便益を伝えるかがマーケティング課題となっていたわけだ。

マスマーケティングに感じていた課題

 新型コロナウイルス禍により、在宅時間が増え普段の食生活を見直す人が増えた。それに伴い、食のニーズは多様化が進んでいる。従来、日清オイリオグループは、テレビCMを中心としたマス広告を通じた宣伝で、コモディティー(汎用)的な商品を拡販するマーケティングが中心だったが、「一人一人のニーズに応えていこうとすると、テレビCMといった大衆発信では語り切れない部分が出てきた」。食品事業本部商品戦略部ホームユース課の長谷川重典課長はマスマーケティングの限界をそう捉えている。

 マヨドレはサラダ油のような日清オイリオグループの主力商品と比べ対象の顧客層は狭いものの、便益を感じる層にはぴったりの調味料だ。「どうすれば刺さる人にちゃんと伝えられるか」(安田氏)を考える中で、新たな広告として白羽の矢を立てたのがリテールメディアだった。

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