リテールメディア大研究 第2回

セブン‐イレブン・ジャパンは2022年9月1日に「リテールメディア推進部」を新設し、広告事業に本格参入した。約1800万人が利用するスマートフォン向けアプリ「セブン-イレブンアプリ」を軸に、購買データに基づき広告配信できる仕組みを整備。広告効果も購買データを用いて、可視化できるようにした。年内には広告配信専用サーバー(アドサーバー)を導入し、複数の企業の広告を並行して出し分けられるようにする計画だ。広告事業の全貌を、商品本部リテールメディア推進部総括マネジャーの杉浦克樹氏が明かした。

セブン‐イレブン・ジャパンは2022年9月1日に広告事業の専門部署「リテールメディア推進部」を、商品本部傘下に設置した
セブン‐イレブン・ジャパンは2022年9月1日に広告事業の専門部署「リテールメディア推進部」を、商品本部傘下に設置した

 2022年3月17日は、セブン‐イレブン・ジャパンにとって歴史的な1日となった。リテールメディアの試験的な取り組みの一環として、セブン-イレブンアプリ上に設置した広告枠に、セブンイレブンで商品を扱うメーカーの広告が配信されたのだ。試験段階ではあったが、出稿主であるメーカーからは広告費が支払われた。その出所はメーカーの宣伝部門だった。

 一般的にメーカーの宣伝部門が広告宣伝費を使う先はテレビや新聞などのメディアだ。これまでの歴史の中で、セブンイレブンをメディアと捉え、メーカーの広告宣伝費が投じられたことが1度もなかったとは言い切れない。だが、少なくともリテールメディア事業を統括する杉浦氏にその記憶はない。メーカーの広告宣伝費によるアプリへの広告配信は、セブンイレブンが本格的に“メディア”になったことの証しなのだ。

 「宣伝部門の視点で見れば小売りは小売りであり、メディアではない。これまでは当社とメーカーの宣伝部門はつながりがなかった。だが、認知から購買までをつなげたリテールメディアを展開することで、市場規模が15兆円といわれる販促費と6兆円の広告宣伝費、合わせて21兆円の市場を取りに行くことも可能になる、挑戦しがいがある領域だ」と杉浦氏は実感した。

自社の販促施策の成功が開発のきっかけに

 セブンイレブンのリテールメディア開発のきっかけは、約1800万人が利用するセブン-イレブンアプリの購買データを活用した、自社の販促施策だ。セブン-イレブンアプリは、買い物をすることでさまざまな特典を得られる。店舗のレジでアプリ上のバーコードを提示することで、購入金額200円ごとにマイルがたまったり、対象商品の購入でクーポンをもらえたりする。

スマートフォン向けアプリ「セブン-イレブンアプリ」は、買い物時に店舗のレジにアプリに表示したバーコードを提示することでさまざまな特典を得られる。約1800万人が利用する
スマートフォン向けアプリ「セブン-イレブンアプリ」は、買い物時に店舗のレジにアプリに表示したバーコードを提示することでさまざまな特典を得られる。約1800万人が利用する

 電子マネー「nanaco」やコード決済サービス「PayPay」の利用者は、それらのサービスのIDと連係させることで、セブン-イレブンアプリ上で支払いサービスを選び、表示したバーコードで支払うこともできる。決済、ポイント管理、クーポンの利用まで、1つのアプリで利用できる。

 セブン‐イレブン・ジャパンの視点で見れば、こうした機能を持つアプリは、いわゆる「ID-POS(販売時点情報管理)」の役割を果たす。会員ごとに固有のIDを割り振り、そのIDにアプリの利用履歴や購買データを蓄積できる仕組みとなっている。

 セブン‐イレブン・ジャパンはこのアプリで得た購買データを用いて、辛みが効いたフライドチキン商品「ななチキレッド」の販促施策を実施した。購買データを基に、過去にホットスナックの購入履歴がある層と、激辛メニューで知られる「蒙古タンメン中本」の即席麺の購入履歴がある層を抽出。対象層に「YouTube」で動画広告を配信した他、セブン-イレブンアプリ上にバナー広告を掲載した。

広告と販促の組み合わせで購入率は2.3倍

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