続・Shopify、BASE、STORES研究 第4回

ECサイトでありながら通常時は商品を一切掲載せず、表示されるのはメールマガジンの登録画面のみ。にもかかわらず、新商品がアップされるたび数分で完売――。そんな“伝説”で注目されているのが、スニーカーと雪駄(せった)を掛け合わせた「unda-雲駄-」などを販売しているブランド「goyemon(ごゑもん)」だ。フォロワー数2万9000人のInstagramよりも、あえてメルマガ中心に告知をするなど、常識の裏を行くかに見える同ブランドの価値構築戦略を探る。

goyemonの第1弾商品「unda-雲駄-」(税込み1万6200円)は、雪駄(せった)×スニーカーという異色の組み合わせで人気を集め、MAKUAKEリリース初日に数時間で完売
goyemonの第1弾商品「unda-雲駄-」(税込み1万6200円)は、雪駄(せった)×スニーカーという異色の組み合わせで人気を集め、MAKUAKEリリース初日に数時間で完売

 「We steal standard.」をブランドコンセプトに、日本の伝統技術と現代の最新技術を融合させた商品を展開しているブランド「goyemon(ごゑもん)」。運営しているのは、2019年に設立されたNEWBASIC(東京・台東)だ。

 雪駄とスニーカーという、伝統技術と最新技術を象徴するプロダクトを融合させた「unda-雲駄-」は、19年2月にMAKUAKE(マクアケ)でリリースすると、先行販売用に用意していた180足が、初日の数時間で完売した。急きょその翌日、1000足を追加したが、それも数日で完売。最終的には50万円の目標金額に対して2167万円以上が集まり、達成率は4335%を記録した。

MAKUAKEでは50万円の目標金額に対して2167万円以上が集まり、達成率は4335%を記録
MAKUAKEでは50万円の目標金額に対して2167万円以上が集まり、達成率は4335%を記録

 MAKUAKEでのリリース以前にBASE(ベイス)でECサイトを立ち上げており、MAKUAKEの出資者への商品送付完了後に一般販売を開始。告知はBASEのECサイトのみだったが、用意した商品が数分で完売した。MAKUAKEの驚異的な達成率とともに、ECサイトの販売期間の短さも話題になり、さまざまなメディアから取材され、認知度が一気に上昇。コラボレーションのオファーが殺到し、「ジャーナルスタンダード」「DENHAM(デンハム)」「スノーピーク」など、多くのメーカーとのコラボ商品を定期的に発売している。

プロデュースをしたのは、1993年生まれの元同級生2人

 同ブランドを立ち上げた大西藍氏と武内賢太氏はどちらも1993年生まれで、東京都立工芸高等学校マシンクラフト科の元同級生。マシンクラフト科はものづくりの方法やデザイン技術を身につけられる全国でも珍しい学科で、2人は卒業後別々の大学に進んでさらにデザインを深く学び、卒業後はそれぞれ、デザインの仕事に携わっていた。

大西藍氏(右)は日本大学芸術学部デザイン学科卒。家業であるデザイン企画会社で企画・製造・販売に携わる。武内賢太氏(左)は東京工芸大学芸術学部卒業後、コイズミ照明商品部にて、企画・デザインに携わる
大西藍氏(右)は日本大学芸術学部デザイン学科卒。家業であるデザイン企画会社で企画・製造・販売に携わる。武内賢太氏(左)は東京工芸大学芸術学部卒業後、コイズミ照明商品部にて、企画・デザインに携わる

 その2人が社会人3年目に、「人の心をつかむような商品をつくりたい」と意気投合。2018年に副業としてオリジナル商品の開発と販売をする会社を立ち上げ、ブランド名を「goyemon(ごゑもん)」とした。ブランド名のヒントは、武内氏の好きな『ルパン三世』。「『優れた芸術と泥棒は似ている。どちらも人の心を盗む術を知っているからだ』という言葉があるが、僕もいろいろな所で優れた商品を見ていると、確かに『心を盗まれる』瞬間がある。そういう商品をつくりたいと考えた」(武内氏)

 ブランド名を旧字体にしたのは、大西氏のアイデア。「ゴエモンという名前は飲食店やゲーム、ユニット名などたくさんあるので、検索してもその中に埋もれてしまいやすい。旧字体を入れることで検索に引っかかりやすくなる」(大西氏)。ただしデメリットもあり、名前の表記をよく間違えられたり、ブランド名を検索しようとしても検索できないと言われたりすることが多いとのこと。

「MAKUAKEで注目されやすいもの」を研究し、商品開発

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