
“Amazonキラー”として世界を席巻するShopify(ショッピファイ)に対し、日本発のBASE(ベイス)、STORES(ストアーズ)――。新型コロナウイルス禍によるEC進出ニーズの高まりを受け、勢力を大きく伸ばした3つの新興EC開設プラットフォームの実力を探った特集「Shopify、BASE、STORES研究」が2021年、大きな反響を呼んだ。実店舗に客足が戻り始めている今、3つのプラットフォームはどのように変化しているか。その最新動向をプラットフォーマーと事業者の両面から探っていく。
BASE「グロースプラン」登場で乗り換え不要に
「初期費用・月額費用は無料」をアピールしてユーザーを増やしてきたBASEが、ついに有料プランを導入――。BASEは2022年4月、月額費用無料の「スタンダードプラン」に加え、月額費用が5980円(税込み、以下同)になる代わりに商品が売れたときの手数料が決済手数料の2.9%のみになるプランを追加した(スタンダードプランだと決済手数料3.6%+40円に加えてサービス利用料3%がかかる)。売り上げが月額17万円を超えると、月額費用を含めてもスタンダードプランより手数料が抑えられるという。
導入ショップは22年9月末時点で約3600と、180万以上という全体のショップ数からすると少ないように思えるが、「BASEの流通総額に占める割合は約5割と、かなり大規模のショップに使っていただいていることが顕著に見えている」と、BASE上級執行役員兼COO(最高執行責任者)の山村兼司氏。スタンダードプランから始めたショップがグロースプランに移行するケースが大半のようだ。
一方、以前から月額費用無料の「フリープラン」(決済手数料は5%)と有料の「スタンダードプラン」(月額2178円、決済手数料は3.6%)を採用しているSTORESは、「最初から月額有料のスタンダードプランを選ぶショップも多く、アクティブな事業者の7割がスタンダードプラン」(STORESリテール事業部門長の伊達貴臣氏)。同社はネットショップ開設だけでなく、ネット予約システムやキャッシュレス決済、POSレジ機能、店舗アプリ作成など、実店舗のデジタル化を包括的にサポートしているのが強み。すでにある程度の売り上げがあるユーザーが多いのもその理由だろう。
Shopifyは月額25米ドル(取引手数料は3.4~4.15%)の「ベーシックプラン」が最安だったが、22年9月から月額5米ドル(取引手数料は5%)の「スタータープラン」をスタート。クリエーターや小規模事業者向けで、テンプレートに沿って商品説明や画像を追加するだけでECサイトを開設できるという。「ECを全くやったことがないクリエーターを開拓していくのが狙いでは。そもそもYouTuberなどのクリエーターはITリテラシーが高いので、BASEやSTOREを使う必要はあまりなく、Shopifyと相性が良いと思う」と、Shopifyエバンジェリストを務めるフラクタ(東京・渋谷)代表の河野貴伸氏。
つまり、どのプラットフォームでも売り上げに応じて手数料がより適切なプランを選べるようになったことになる。プラットフォームの乗り換えは顧客情報や商品登録の引き継ぎなどが大変なので、できるだけしないほうがよい。そういう意味では、手数料だけを理由に乗り換えを検討する必要はなくなりそうだ。
BASE、STORESも規模拡大に対応
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