2018年に米国で「Amazon Go(アマゾンゴー)」が一般公開されてから4年あまり。その後、欧米ではレジなし店舗「Autonomous Store(オートノマス・ストア)」が着々と増えている。22年夏に現地視察と主要プレーヤーへのインタビューを行ったサイバーエージェント子会社のCA無人店舗(東京・渋谷)の平川義修氏による新連載第1回では、“元祖”であるAmazon Goの最新動向を読み解く。

ニューヨークのAmazon Go店舗(写真/Shutterstock)
ニューヨークのAmazon Go店舗(写真/Shutterstock)

 ここ1、2年で日本において「無人店舗」という言葉を聞く機会が増えたのではないだろうか。その発端となったのは、ご存じの米アマゾンによる「Amazon Go(アマゾンゴー)」だ。

 カメラやセンサー、AI(人工知能)など最新技術によって物理的なレジや決済行為自体をなくしてしまうというスマートで画期的な買い物体験の創造により、Amazon Goが小売りやIT業界のみならず世の中を騒がせたのは2018年のことである。

 それから約4年という歳月と新型コロナウイルス禍を経て、この分野では実はいくつものスタートアップが立ち上がり、各社様々な手法や独自の戦略によって欧米では着実に広がりを見せている。

 しかし、だ。日本のメディアではこういったプレーヤーたちをひとくくりにし、かつ取材者の個人的な見解による記事によって「うまくいっていないのではないか」という誤解を生んでしまっているように感じる。

 そこで今回、コロナ禍による出入国制限が緩和されたのを機に、筆者が欧米の主要プレーヤーとコンタクトを取り、実際に現地へ赴いて直接現状を確認し、各社へヒアリングをしてきた。本連載では、そこで得た最新の知見を紹介していく。

 なお、これら物理的にレジがなく決済が自動化された店舗は、海外では一般的に「Autonomous Store(オートノマス・ストア)」と呼ばれており、直訳すると「自律型店舗」となる。実際、「無人店舗」と紹介される店でも、必ずセキュリティー担当者がゲート前に立って万引き防止や入店時のサポートをしている。また、店舗内にも広さに応じて数人のスタッフがおり、商品の品出しや陳列、アルコールコーナーの前では年齢のチェックをしており、無人ではない。

 日本では「無人店舗」と意訳されたためか、人件費高騰や働き手不足に対するコスト削減の側面が強いが、実際にオートノマス・ストアを生み出した米国では、人間でやるべきことは人間が、自動化できるものは自動化するといった具合に合理的なコンセプトとなっている。もしかしたら、このような考え方の根本の部分に浸透のスピードの差があるのかもしれない。

Amazon Goの驚くべき「3つの進化」

 連載第1回は、パイオニアであるAmazon Goの取り組みをアップデートしておきたい。コロナ禍の影響で最新情報が日本に入りづらくなっており、18年の衝撃的なデビューの「その後」を追い切れていない読者も多いのではないだろうか。実際、誰でも更新できるウィキペディアでも、「18年1月にシアトルにてAmazon Goの1号店が一般公開され、20年6月現在、全米4都市(シアトル、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨーク)で26店舗を運営する」とされたままだ(22年10月現在)。

 しかし、すでに店舗ソリューションであるAmazon Go以外にも、Amazonのレジレス決済システム「Just Walk Out(ジャスト・ウォーク・アウト)」を導入している小売店舗は複数あり、米国のみならず欧州を合わせると90店舗以上が展開されているのが現状だ。いまだに社内コンビニでの展開など実証実験の域を出ないものが多い日本とは、異なる風景が広がっているのである。

 では、簡単にAmazon Goの仕組みについておさらいしておこう。Amazon Goを利用するためには、事前にアプリをダウンロードし、クレジットカード情報の登録が必要になる。その後、入店時にアプリからQRコードを立ち上げ、ゲートにかざすと入店できる。その後は商品を手にとって店を出るだけで精算が完了するという極めてスマートな購買体験を可能にしている。

 これがAmazon Goリリース当初の顧客体験の流れだ。そこからどのような進化を果たしているのか。今回の米国視察で、スマートな体験以外にも大きく3つの進化ポイントが明らかになった。以下で解説していこう。

進化(1)/多種多様な店舗フォーマットへの対応
進化(2)/「Just Walk Out」システムの外販
進化(3)/入店手段や購買プロセスなど、買い物体験の多様化

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