
サントリーでお茶の新製品を米国で立ち上げた経験などから、抹茶ブームを察知し、現在では独自の抹茶マシンを扱うスタートアップを立ち上げた塚田英次郎氏。ひきたての味を追求したオーガニックな茶葉と、サステナブルに配慮した仕組みによって、日米で熱心なファンを生み出している。
本体上部の竹製のふたを開けて、抹茶の茶葉を入れる。専用カップに水を入れてセットし、ボタンを押すと、セラミックの臼が回転する音が響く。茶葉の粉末がカップに落ち、ウィスク(茶こしの役割をする部品)がかき混ぜる。World Matcha(ワールドマッチャ、東京・目黒)が販売する「Cuzen Matcha(空禅抹茶)」の抹茶マシンを使うと、ひきたての本格的な抹茶が手軽に楽しめる。同社は、サントリー出身の塚田英次郎氏が立ち上げたD2C(ダイレクト・ツー・コンシュマー)のスタートアップだ。
「もういいから日本に帰れ」。そう言わんばかりの人事異動の打診に衝撃を受けた。塚田氏は2018年、米サンフランシスコ市内で抹茶カフェ「Stone Mill Matcha(ストーン・ミル・マッチャ)」を立ち上げていた。石臼でひいた本格的な抹茶や、抹茶のスイーツを提供する。健康志向が高まり、コーヒーに代わるカフェイン飲料として、米国で抹茶のブームが広がりつつあった。塚田氏は、08~09年にサントリー社員として米国へ赴任し、ボトル入りお茶の新製品「IYEMON CHA」を立ち上げた。そうした経験から「米国の抹茶ブームはもっと拡大する」と肌で感じた可能性を、新たなカフェ事業として昇華させた。
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