東京タワー内に新しく誕生したeスポーツパーク「RED°TOKYO TOWER」。この施設を生み出したのが、東京eスポーツゲート(東京・港)社長の原康雄氏である。同氏の知見のない領域へのチャレンジという信念から生まれた、世界へと発信する新しい遊び場だ。

「経験のない分野や領域であれば、フラットに物事を見ることができる。知らないから、違和感が分かる」(写真/名児耶 洋)
「経験のない分野や領域であれば、フラットに物事を見ることができる。知らないから、違和感が分かる」(写真/名児耶 洋)
原 康雄(はら やすお)氏
東京eスポーツゲート社長
リクルートにて人事企画、新規事業開発などを歴任。その後、投資・開発・アセットマネジメントまで各種の施設開発・運営を手がける企業の代表を経て、2020年に東京eスポーツゲートを設立。リアル・デジタル領域における新規事業の開発経験をふまえ、esports/エンタメを軸に日本が誇る文化を世界へと発信するRED°プロジェクトを先導する。さらに、RED°独自の“経済圏”の構築を目指し、「REDトークン」を管理するブロックチェーン・スタートアップFIDAの代表も兼任

 世界で急速に市場を伸ばしているeスポーツ。日本eスポーツ連合によると、eスポーツとは「広義には電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称」と定義されている。世界では大会が複数開催されており、中には数十億円にも上る優勝賞金を獲得できる大会もある。一方、日本では法的規制により海外ほど高額賞金が獲得できる大会が開催されておらず、日本でのeスポーツの認知度は上がっていない。

 そんなeスポーツの現状を打破しようと2022年4月20日、TOKYO TOWER(東京・港)が運営する東京タワーの商業施設「フットタウン」の1階と3~5階に、日本最大規模のeスポーツパーク「RED゜TOKYO TOWER(以下、RED)」がオープンした。REDの総敷地面積は約5600平方メートル。これだけの壮大な空間の施設を立ち上げたのが、東京eスポーツゲート社長の原康雄氏だ。

eスポーツには知見がなかった

 原氏がTOKYO TOWERから、空きスペースの活用に関する相談を受けたのはコロナ禍まっただ中の20年7月。「ホテルや飲食、テーマパークなど施設と来場客がひも付く業態は壊滅的な時期だった」と原氏は振り返る。原氏が考えたのが、来場客だけに頼らない、場所に固定されない施設。「そのキーワードとして浮かんだのがeスポーツだった」と言う。eスポーツならオフラインだけではなく、オンラインでもビジネスを展開でき、世界とつながることもできるからだ。

 とはいえ原氏自身、「eスポーツという言葉は知っているだけで、特に関心を持っているわけではなかった」と言う。実はここに原氏の発想のポイントがある。

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