※日経エンタテインメント! 2022年10月号の記事を再構成

全15曲の収録曲がヒップホップ、R&B、ポップス、ロック等、様々なジャンルにあふれながら、1曲1曲が同等の強い存在感を放っているBE:FIRSTの1stアルバム『BE:1』。7色の歌声それぞれが、万華鏡のように瞬間瞬間で表情を変えていく。個性あふれる7人のメンバーの魅力と可能性を具現化したようなこのアルバムについて、7人に語ってもらった。

(写真/中川容邦 ヘア/西村裕司[earch] メイク/千葉彩子 スタイリスト/安本侑史 撮影協力/AWABEES)
(写真/中川容邦 ヘア/西村裕司[earch] メイク/千葉彩子 スタイリスト/安本侑史)

――1曲1曲についてじっくり聞いていきたいほどですが、そうするといくら時間があっても足りないくらいの素晴らしいアルバムで…。

SOTA いきましょう!

LEO じゃあ『爆速ドリーム』からいくか。

RYOKI 誰の曲だよ(笑)。

RYUHEI 『永遠の夢』からいこうか。

MANATO 『虹色サンシャイン』から。

LEO 『フォーエバードリーム』からいく?

――(笑)。まず冒頭の『BF is...』はロックフェス「VIVA LA ROCK」で1曲目に披露していた曲ですよね。7人が作詞作曲で参加されていますが、どんなコンセプトで作りましたか?

LEO 「VIVA LA ROCK」に向けて、「BE:FIRSTが来るぞ!」っていう感じが出せればなと。

JUNON だから、最初はアルバムに入れるって考えてなかったんですよね。

SOTA BE:FIRSTのカッコよさや個性を出して「この後のほかの曲も聴きたい!」と思ってもらえるようなライブのオープニング曲が欲しくて作りました。

MANATO 「来たぞ来たぞ、俺らが来たぞ~」って言うための曲ですね。

LEO ソロのバースも、それぞれが決意表明をした曲になってると思います。

RYUHEI 僕、JUNON君の「刃は向けない 足跡には花束」が好きですね。その後の、「歩く夢を常に照らすライト」もいいですよね。

MANATO ライト系ね。

SOTA J(JUNON)はライト使い。

JUNON (笑)。俺、ライト使いになってる?

SOTA これまで3曲で“ライト”を歌ってるよ。

LEO 『Shining One』の“Spotlight”からね。

JUNON 『Grateful Pain』に関しては、自ら歌詞に“Spotlight”入れちゃったからな(笑)。

MANATO 好きなんだろうね。

LEO 今度自分たちのリリックを書くとき、「またJUNONの“ライト”来るのかな?」って思っちゃいそう(笑)。

JUNON 絶対入れてやろう(笑)。

――「刃は向けない 足跡には花束」というのは活動していて思うことですか?

JUNON 敵対しないっていう気持ちと、自分たちがトップであり続けるっていう気持ちがありますね。“花束”には2つ意味があって。自分が歩んできた道にきれいな花束があるっていう意味と、戦わないで相手に花束を渡すっていう意味があります。

MANATO リリカルだな。

――MANATOさんの「感性が止まない」から始まるパートも相当リリカルですけど。

JUNON 確か「感性が止まない」って2つ意味があったよね?

MANATO みんなには言ってないんだけど、実は3つ意味があって。“感性”と、いつかフェスとかで“歓声”が止まない状態が来るといいなっていう意味と、「“完成”に限界はないよ」っていう意味。最初カタカナで“カンセイ”にしようかと思ったんですけど、“感性”がしっくりきたんですよね。あと、音的に韻を踏んだほうが気持ちいいって思ったから、最後ちょっとリズムで遊んで。聴き心地を重視して作りました。その後のSOTAの次に来るSHUNTOのバースの歌詞は、結構時間を掛けてたよね?

SHUNTO そうだね。ここの歌詞は、結局僕らがやっているのは音楽ファーストであって、正義でも悪でもないし、戦いをやってるわけじゃないよっていう意味で。

LEO 俺は俺だよっていう。

SHUNTO そうそう。音楽を褒め合う気持ちや好奇心は誰にも止められないよっていう思いで書きました。

7人の思いの全てを詰め込んだ1曲

――「Grateful Pain」も個人個人の思いがあふれた曲です。

SOTA この曲の歌詞が1番自分のことを考えて書きましたね。

JUNON 僕のバースから始まりますけど、あそこはデビュー前の経験が少なかった自分に対して、頑張って磨けば今の自分くらいにはなれるんだよって誰かに伝える気持ちで書きました。

SHUNTO その次の僕のバースでは、今だからこそ過去に感謝できるっていう気持ちをちゃんと言葉にしたいなと思ったんです。

RYOKI 僕は、自分のことを書いたっていうよりは、グループ全体のことを思って書きました。つなぎっていうか。他のメンバーも聴いてくれる方も、何となくでも希望を感じてもらえたらいいなって思って書いた歌詞ですね。

LEO 僕とMANATOの掛け合いのパートは、プリプロ(プリプロダクション)のときにフローの感じを合わせたりしたよね。

MANATO したし、もともとはLEO君のパートだけど、僕も掛け合いで入るから「これでいい?」みたいな共有と確認を繰り返した。

LEO お互いに納得いくまでね。

MANATO うん。1番いい形でできたと思います。掛け合ったり、つなぐときの歌詞のすり合わせは1番難しいところだよね。自分のことに振り切りすぎると1曲としてつなげたときに散漫な印象が出ちゃう。いろいろとバランスを考えました。

RYUHEI 僕的には、自分が歌う「歓びに溢れるまで」と最後7人で歌う「歓びに溢れるんだ」の違いがポイントかなと思っています。僕が歌う「歓びに溢れるまで」っていうのは、僕は14歳っていう割と若い段階でBE:FIRSTに入って、そこから成長していく過程で、“君”が歓んでくれるまで頑張っていきたいって思いがあると思っていて。それで、最後の「溢れるんだ」はメンバー全員がいるからこそ、最大限“歓びが溢れる”。そういうグループなんだよって優しく伝えてあげてる感じがすごくいいなって思いました。

SOTA 1番で「間違ってなんかないだろう?」って歌詞があって、2番では「間違っていたとしてもいいさ」になる。どっちなのかすごくモヤモヤしてる感じがあって。それでLEO君が「間違ってなんてないから」って歌ってちゃんと締まる。そして、その後に僕が「僕らが生まれてきたその意味が」って歌ったあと、全員の声が重なる「歓びに溢れるんだ」につながる。僕たちが7人になるまでに感じてた不安が描かれていて、ストーリー性がしっかりと表現できている曲だと思います。

RYOKI 終盤でSOTAがラップを長々とかましてくれるのが良くて。

JUNON 「長々と」ってなんかいいね(笑)。

RYOKI (笑)。そう、長々とかましてくれるところがあるんですけど、そこでは(SOTAのまねをして)「マイク持つ幼馴染~」とか、結構自分のことを言ってるんだけど、でもそういうことも含めて俺は生きてるんだぜ、みたいな。だから、個のバースだとしても全体とつながる感じがあるなあって思いました。(再びSOTAの真似をして)「マイク持つ幼馴染~」っていうふうには思いますけど。

JUNON そこしかないの?(笑)。

RYOKI (笑)。

SOTA 「幼馴染~」って最後伸ばすと人の名前みたい(笑)。

RYOKI 俺はジミー大西さんが浮かぶ(笑)。

SOTA 俺もなんだよ!

RYOKI あははは。それもあってめっちゃいいなあって思います。

――SOTAさんのバースだけオートチューンが掛かってますよね。

SOTA 声を張って歌うと感動に結びつくことが多いよねって話してたんですけど、僕のラップスタイルのままで声を張ったら微妙だったんで、オートチューンにしました。歌詞では時系列も意識しましたね。“過去があるからこそ今感じてる痛み”をテーマにしていて、実際今の自分にも、過去があるからこその痛みがある。成功しても失敗しても不安は絶対にあるんだよってことが言いたかった。でも、それ以上に踏み出すことが大事なんだって伝えたあと、当初自分が歌うはずだった「今の僕だからこそ」って歌詞が来る。結局LEO君が歌ってるんですけど、「今の僕だからこそ」って俺に歌ってくれている感じがしてめっちゃ泣けるんです。

LEO (無表情)

RYOKI (LEOに向かって)そういうつもりで歌ってますか?

LEO (満面の笑顔でオーバーに)はい! 僕はいつもそういうつもりで歌ってます!

全員 (笑)。

SOTA (笑)。自分で長々と語った後に、LEO君が「違うよ、今のSOTAだからこそ見せられるんだよ」っていう思いを渡してくれる感じがあって。

LEO (さらにオーバーに)そうです! めっちゃそういう思いで歌ってます。

RYOKI LEO君はライブでここ歌うたびに、分かりやすくSOTAのほうを向くんだろうな。

SOTA じゃあ、俺は違うほうを向こうかな。

LEO (笑)。でも『BE:FIRST TV』でここを歌ったときもSOTAのほうを向いて歌ったもんね。お互い向き合ってね。

RYOKI もうSOTA、泣けなくなっちゃうね。

SOTA うん。もう脂っこい。

LEO SOTAからこの話、始めたんだろ!

全員 (笑)。

――LEOさんは、MANATOさんとの掛け合いの部分の歌詞にすごくこだわられたとか。

LEO そうなんです。こだわらせていただきました! 歌詞を書くときに言葉選びをすごく大事にして。「この声で 鳴らした夢 同じ道で 足音を君と」の箇所は、伝えたい思いはあるのに最初全然言語化できなくて。「この声」っていうのは自分の声のことで、アーティストを目指して声で夢をかなえた。自分1人だけだったその道が、今はメンバーやファンやスタッフの方と全員で同じ道を歩んでる。それで結局「同じ道」にしたんですが、そこを何にするかギリギリまで悩みました。結局シンプルなところに落ち着きましたね。

[後編に続く]

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