※日経エンタテインメント! 2022年10月号の記事を再構成
グループからたった1年で、日本のトップアーティストの地位を築いた7人組ボーイズグループ「BE:FIRST」。彼らが歩んできた道のを振り返る。後編では初の冠番組『BE:FIRST TV』スタート後、猛スピードで活動範囲を広げていくBE:FIRSTの足跡を追う。
プレデビューから「THE FIRST FINAL」までを1期、2ndシングル『Bye-Good-Bye』にまつわる一連の動きを2期とするならば、3期に当たるのが、8月31日リリースの1stアルバム『BE:1』の活動期に当たる現在から初のホールツアーへの流れだと思われる。SKY-HIが今見据えることの1つが、「2年後のドームツアーに向けて、やらなくてはいけないこと」(本誌9月号のSKY-HI連載「Be myself , for Ourselves」より。WEB転載はこちら)。アルバムとツアーはそのなかでも大きなポイントだ。
SKY-HIが「これがBE:FIRSTだという意思表示の1枚」と呼ぶ、『BE:1』の収録曲のテイストは振れ幅も大きければ、個々のメンバーの歌唱法もバラエティに富み、それぞれの曲が放つメッセージも強く、BE:FIRSTが歌うからこそ説得力のあるものばかりだ。
まず『BE:1』において火蓋を切ったのは、7月25日のリード曲『Scream』の先行配信とMV公開だ。この曲は、Billboard Japan「JAPAN HOT 100」では『Gifted.』『Bye-Good-Bye』に続く3作目の1位となり、SKY-HIが日本の音楽業界で「22年最もお金を掛けたMVの1本だと思う」というMVの再生回数は8月24日時点で約860万回。ダンスプラクティス動画やダンスパフォーマンス動画に加え、メンバー別の動画など既に『Scream』動画は13本におよぶ。
以降、「THE FIRST」の課題曲だった『Be Free』が8月1日、『Move On』は8月8日に先行配信。8月12日には5月の「VIVA LA ROCK 2022」で初披露した、メンバーが作詞曲に参加した『BF is...』を配信。さらにプレデビュー曲『Shining One』は、1周年の記念日である8月16日に新しくレコーディングした『Shining One(Re-recorded)』として先行配信するとともにダンスプラクティス動画を公開した。
アルバム収録曲以外の大きな楽曲リリースが、7月13日のイギリスのジョナス・ブルーとのコラボレーション曲『Don’t Wake Me Up feat. BE:FIRST』だ。リリース時には、各種音楽配信サービスにて世界各国のプレイリストに入り、海外にも広く届いた。また、このコラボによって、「FUJI ROCK FESTIVAL‘22」でのジョナス・ブルーのステージにゲスト出演した。
これに続き、この夏はBE:FIRST単独で「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022」と「SUMMER SONIC 2022」にも出演。新人にして3大フェスのステージに立つというボーイズグループでは前代未聞の快挙を成し遂げた。
“アウェー”の場数がさらなる成長へ
大舞台であるロックフェス出演により、BE:FIRSTはパフォーマンスやMCなどの様々な課題を乗り越えて成長。同時に、フェスの場で初めてBE:FIRSTと出会う音楽ファンの興味を引いてきた。音楽好きのリスナーを堅実に増やす流れは、BE:FIRSTにとってはもちろんのこと、おそらくアイドル/アーティストの垣根を取っ払い、日本の他のボーイズグループの可能性をも広げるだろう。
約3カ月半にわたるツアーでどんな進化を遂げるか
9月23日には、全国17都市25公演を巡る初のホールツアー 「BE:FIRST 1st One Man Tour “BE:1” 2022-2023」が幕を開けた。アリーナ規模を埋められるBE:FIRSTがあえてホールでライブをするのもまた、「2年後のドームツアー」を見据えたもの。
SKY-HIは『日経エンタテインメント!』の連載で、ホールツアーである意味を「アーティスト自身の成長」が第一であるとしたうえで、具体的にこう語っている。「お客さんの1人ひとりを『人』として認識できるから。また、日本全国を周る経験もとても大事なことなんです。各地のBESTY(BE:FIRSTのファンネーム)のもとに足を運んで、どんな土地でどんな方々が応援してくれているのかをきちんと実感してほしい」「演出面で言えば、ホール規模では彼ら自身のフィジカルが必要になるのも大きなメリットです」(22年8月号より。WEB転載はこちら)。
約3カ月半にわたるツアーで、彼らがどうアーティストとして、人間として進化を遂げるのか。ただ、それもまた彼らの2年目の飛躍の1つに過ぎないのかもしれない。スピーディーな怒涛の展開でありながらも、着実に土台を固めているBE:FIRST。彼らが今後、どんな新しい世界を見せてくれるのか、期待と楽しみしかない。