※日経エンタテインメント! 2022年10月号の記事を再構成

グループが誕生したのは21年8月13日。そこからたった1年で、日本のトップアーティストの地位を築いた7人組ボーイズグループ「BE:FIRST」。個々の強い個性とスキル、楽曲の音楽性の高さは、音楽ファンからの反響も呼び、新しい流れを作っている。この1年、彼らはどんな道のりを歩みここに至ったのか。

日経エンタテインメント! 2022年10月号の記事「BE:FIRST 7人が語る結成1年の成長と現在地」では、7人に自身の成長と今の思いを語ってもらった。その中から、BE:FIRSTが歩んできた1年、そしてメンバー7人が1stアルバム『BE:1』について語り合う座談会を転載する。

写真左から、RYOKI、SHUNTO、JUNON、SOTA、LEO、MANATO、RYUHEI(写真/中川容邦 ヘア/西村裕司[earch] メイク/千葉彩子 スタイリスト/安本侑史 撮影協力/AWABEES)
写真左から、RYOKI、SHUNTO、JUNON、SOTA、LEO、MANATO、RYUHEI(写真/中川容邦 ヘア/西村裕司[earch] メイク/千葉彩子 スタイリスト/安本侑史 撮影協力/AWABEES)

 BE:FIRSTは、この1年で瞬く間に日本のトップアーティストの一角を担う存在になった。マネジメント/レーベルBMSGのCEOであるSKY-HIによるオーディション「THE FIRST」から生まれたBE:FIRSTは、BMSGが設立当初から掲げる3つのファースト、「アーティシズムファースト」「クリエイティブファースト」「クオリティファースト」を何1つ損なうことなく、この1年を歩んできた。

 歌やパフォーマンスのスキルと表現力はもとより、何よりも音楽を愛する音楽ファーストであるアティテュード。楽曲制作にはSKY-HIを軸に、旬のプロデューサーやトラックメイカーが参加し、振り付けも国内外のトップコレオグラファーが手掛けた。予算を掛けた、映像作品としても優れたミュージックビデオ(以下、MV)も次々に公開。それらの最高峰を携えて、この夏には3大ロックフェスのステージでパフォーマンスも披露し、「アーティシズム」「クリエイティブ」「クオリティ」の全てに優れた大型新人の登場を印象づけた。

 まずは、彼らが駆け抜けたプレデビュー以降の1年のストーリーを時系列で見ていこう。

“4部作”をデビュー曲で締めくくる

 オーディション「THE FIRST」を経てデビューメンバーが発表されたのは、2021年8月13日。同月16日に『Shining One』でプレデビューすると、MVは公開から2週間で再生回数1000万回を突破。同月25日発表のBillboard JAPAN「JAPAN HOT 100」でも2位を獲得するなど、デビュー前からインパクトのある実績を作り華々しいスタートを切った。

 メジャーデビューは11月3日。1stシングルのタイトルは、「天賦の才能がある」という意味の『Gifted.』。SKY-HIはここに、BE:FIRSTがギフテッドであるというアティテュードを示すとともに、誰もがギフテッドであるというメッセージを込めた。「THE FIRST」中にリリースした『Be Free』『Move On』、プレデビュー曲の『Shining One』とデビュー曲『Gifted.』の頭文字を取ると、「BMSG」の文字が完成するという意味深い仕掛けも明かされた。BE:FIRSTの公式ホームページで、SKY-HIはこう書いている。

 「タイトルの最後に付けられているドットは、(中略)『THE FIRST』4部作が締めくくられることを意味する。7人のメンバーでBE:FIRSTが完成した、世の中に打って出る準備が出来たことを意味する。これは一つの集大成であり、新たな物語のスタートである」

 その当時は“新たな物語”が何を指すのか形として見えていなかったが、22年1月末以降、新しいフェーズの始まりを感じることになる。

 最初にそれを実感させたのは、1月29日・30日の「THE FIRST FINAL」だ。オーディション「THE FIRST」の合宿審査以降の参加者の“卒業式”と銘打ったライブの終盤で現れたBE:FIRSTの7人は、ライブのそれまでとは一転、スタイリッシュな黒のセットアップ姿で、そのたたずまいは1組のアーティストとしての矜持と格を感じさせた。デビュー曲『Gifted.』で始まった彼らのパフォーマンスこそが、“新たな物語”の始まりを雄弁に語っていた。

Spotify月間リスナー150万人超も達成
 BE:FIRSTの1年のリスナー拡大が如実に表れているのが、Spotifyのマンスリーリスナー数の動きだ。この1年で2枚のシングルをリリースする以外に配信リリースを連発し、常に「新曲がある」状態を続けた。

 マンスリーリスナーの数はデビュー曲『Gifted.』のリリース当時は50万前後だったが、5月18日の2ndシングル『Bye-Good-Bye』発売前の1月末に『Brave Generation』、3月に『Bye-Good-Bye』、4月に『Betrayal Game』を先行配信して、新規リスナーを拡大していった。SpotifyやApple Musicなど音楽ストリーミングサービスの主要プレイリストに入ったことに加え、フェスやイベント、メディア出演も後押ししたと思われる。

 シングル発売後は急激に伸び、5月26日に100万人を突破。以降は100万人超えをキープ。楽曲リリース時が新規ユーザーとの接点となりやすいため、アルバム『BE:1』後の動向も楽しみだ。
Spotify マンスリーリスナー1年の動き/グラフは編集部作成。マンスリーリスナーとは28日間のユニークリスナーの数を集計したもの。同一リスナーによる複数回再生も1回に数えられるため、一般への浸透度が比較的見えやすいと考えられる
グラフは編集部作成。マンスリーリスナーとは28日間のユニークリスナーの数を集計したもの。同一リスナーによる複数回再生も1回に数えられるため、一般への浸透度が比較的見えやすいと考えられる

「常に新しいことがある」を継続

 1月31日には「THE FIRST FINAL」で披露した『Brave Generation』を配信リリース。ここから5月18日の2ndシングル『Bye-Good-Bye』に向けての約3カ月半、怒涛の快進撃が始まった。3月7日にはタイトル曲の『Bye-Good-Bye』を早くも配信リリースし、Billboard JAPAN「JAPAN HOT 100」で1位を、「Streaming Songs」では2週連続1位を獲得。4月24日のワンマンライブ「“Bye-Good-Bye”One-day One Man Show」で3曲目の『Betrayal Game』を初パフォーマンス、翌25日に先行配信が始まると、Billboard Japan「Download Songs」1位に。

 3曲すべてにタイアップが付いたことも、勢いを後押しした。『Bye-Good-Bye』は8月10日のオリコン週間ストリーミングランキングで、累積再生回数1億回を突破したことが発表された。

 YouTubeではMVやダンスプラクティス動画のほか、「THE FIRST FINAL」やワンマンライブでのパフォーマンス動画も公開。連日のように新曲にまつわる何かしらのコンテンツが供給された。なお、『Bye-Good-Bye』はパフォーマンス中のメンバー個別のカットを編集した「Chasing Camera」も含めると、関連動画は19本にものぼる。

 4月2日からは日本テレビ系列で初の冠番組『BE:FIRST TV』もスタート。番組最後にはパフォーマンスの時間も設け、彼らのキャラクターだけではなく音楽性の高さをもアピールした。特に、同じ11月3日デビューの11人組ボーイズグループ「INI」とお互いのデビュー曲を交換してパフォーマンスを披露した回は大きな反響を生んだ。同じ頃にはINIの冠レギュラーラジオ番組のイベントで共演するなどの交流も生まれた。まさにBMSGの社訓である「上り詰める、だけど蹴落とさない」に基づいた企画の1つであり、SKY-HIが常々語っている「事務所の枠を越えてユナイトしたい」の一歩だった。

 BE:FIRSTは4月30日の「VIVA LA ROCK 2022」でも新しいファンを獲得していった。当日へ至る道のりは、GYAO!で配信している『BE:FIRST Road to VIVA LA ROCK 2022』に詳しいが、ダンス&ボーカルグループになじみのない観客が多く集まる場で、新人かつボーイズグループであるBE:FIRSTは、いくつもの明確な課題を持ってこのステージに臨み、会場を掌握するパフォーマンスやMC面で大きな成長の糧を得た。

 話を『Bye-Good-Bye』に戻すと、1月の『Brave Generation』、3月の『Bye-Good-Bye』、4月の『Betrayal Game』の配信リリースにより、5月18日の『Bye-Good-Bye』CD発売時には“新曲がない”状態だったが、蓋を開ければ『Gifted.』に続き、Billboard Japan「JAPAN HOT 100」1位に手堅く輝いた。

 しかし、チャートの実績よりも大きい成果は、この期間で認知度を大きく高め、新しい場所で新しいファンを獲得し、ファンとはまた別の視点で楽曲を好んで聴くリスナーをもつかんだことだったろう。Spotifyマンスリーリスナーの伸びは優れた楽曲とリリースの連発、フェス等への出演、多数の動画の供給など複合的な施策があってこそ成し得た実績に違いない。

公式YouTube総再生回数は2.4億超
最近はTikTokフォロワー数が急増中
 プレデビュー曲『Shining One』のミュージックビデオ(以下、MV)再生回数が約10カ月間で3000万を突破、『Bye-Good-Bye』は公開5カ月半で3000万回目前、7月25日公開の『Scream』も約3週間で800万を記録するなど、MVを中心にYouTubeでの再生回数に強いBE:FIRST。チャンネル登録者数は54万人以上、動画本数は184本、総視聴回数は2.4億回を超えた(8月21日時点)。

 昨今のボーイズグループにとって積極的なSNS活用は必要不可欠な施策だが、BE:FIRSTにおいても例外ではない。デビューメンバーが発表された21年8月13日にオープンしたTwitter公式アカウントの投稿数は4500件以上。リツイートも含めて1日平均十数件を投稿していることになるが、これは人気獲得と維持にTwitterを有効活用しているK-POP第4世代の1日の投稿件数「平均7件以上」(21年5月のTwitter社とK-POP Raderの共同調査より)を大幅に超え、BMSGの意欲をうかがわせる。

 今現在、メンバー別のアカウントは運用しておらず、Twitterは最新情報の発信が主だが、リリース時期には「#BEFIRSTが公式ジャックします」と1日限定でメンバーによるオフショットを投稿するなど、祭り感を作ってTwitter上を盛り上げる。

(後編に続く)

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