Zの次に来る「α世代」が知りたい 第3回

児童は楽しく使え、親は納得して購入する――。α世代向けの玩具・サービスを訴求するには、そんな2段階方式を取らざるを得ない。タカラトミーは、α世代向けの玩具を開発するに当たり、商品だけでなく、親世代へのアプローチ方法も変えた。新しい親子の関係が、新しいヒット玩具を生み出す。

左から「マイイルミ ドリームカラー」「リアルミシン ファッションスタジオ」「ぷにるんず ぷにぷらす」
α世代の親子関係が、新しいヒット玩具を生み出す

 小学生以下を主なターゲットとする玩具業界。2022年に12歳以下を指す「α世代」は、今まさに実像を把握したい層の1つだ。α世代は生まれた時から身近にスマートフォンやタブレット端末があり、いつでも大量の情報に触れられる環境で生活する。小中学校ではタブレット端末が1人1台配布されるなど、1990年半ば~2010年初頭に生まれた若者層、いわゆる「Z世代」と比較し、よりデジタルネーティブであると考えられている。

 Z世代までは、親が使うスマホやタブレット端末に憧れを抱き、児童向けスマホやタブレット端末をねだるケースもあった。一方、α世代は生まれた時から大人が利用する実機に触れる機会が多いため、児童向けでは満足しない。「α世代は“本物”に囲まれて育っており、大人が見ても心躍る玩具を作ることが重要」と、タカラトミーのファッションエンターテイメント事業部シニアスペシャリストの織田恵里氏は話す。

 児童向けの玩具が一般のスマホと真っ向から勝負しても、児童の興味関心を引くのが難しいのは明らか。タカラトミーはα世代のヒット商品をどう生み出すのだろうか。

ある種の本物感が児童らの興味を引き付ける

 タカラトミーの玩具でキーワードとして浮かんでくるのが“本物感”。その例が、2021年7月に発売したキャラクター育成トイ「ぷにるんず」だ。液晶画面の中でキャラクターを育てるのは携帯型ゲームにもよくあるが、ぷにるんずはこれにアナログの要素を追加。本体側面に開いている穴の奥まで指を入れると“ぷにぷに”とした触感のボタンがあり、これを操作することでキャラクターを実際に触っているような感覚を味わえる仕掛けだ。

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