
「CG(コンピューターグラフィックス)だと思ったらセットだった」と話題になった、ポカリスエットのCM。2022年の「羽はいらない」編では透明のバルーンで覆った全長45メートルのセットを組み上げ、入道雲を人工的に作り出した。このCMの監督を務めた柳沢翔氏は「フルCGでもリアルに表現することはできるが、見るほうが『CGならできるでしょ』と興奮しなくなっている」と語る。
1人の少女が大きな起伏のある学校の廊下を他の生徒とは逆方向に駆け抜け、その先の扉を開くとサクラが舞い散る空間が広がる――。大塚製薬「ポカリスエット」の21年CM「でも君が見えた」編はその幻想的な世界もさることながら、85メートルに及ぶ巨大なセットに動く床を作り、そこを実際に走る様子を撮影しており、「CGだと思ったらセットだった」などと大きな反響を呼んだ。
本特集の第1回では世界の広告の大きな潮流として、「オーセンティシティー(本物であること、真実味)」を挙げたが、CGが進化してリアルに近い表現ができるようになった今、なぜ大がかりな実写作品が見ている人を魅了するのか。このCMの監督を務めた柳沢翔氏に聞いた。
入道雲を人工的に作り出し、巨大なバルーンで街を覆う
ポカリスエットの22年CM「羽はいらない」編では、少女が雨の中を、傘を差して歩いていると、突然日が差し、雨が上がる。空は透明の膜で覆われており、クルマがぎっしりと並ぶ道の向こうには大きな入道雲。少女はクルマによじ上り、その上を次々に飛び渡っていく。そして大きくジャンプして入道雲の上に飛び込むと、透明な膜がはじけて青空が見えるという、前作と同様に幻想的な作品となっている。
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