AIはどこまで働いてくれるのか? 第2回

商品・サービスの名称や特徴などを入力するだけで、AI(人工知能)がWebマーケティングで使えそうなキャッチコピーの候補を数多くアウトプットしてくれる。そんなAI文章作成ツール「Catchy(キャッチー)」を2022年6月末からデジタルレシピ(東京・渋谷)が提供を始めた。文章のみならず、マーケティング施策、プロモーション施策のアイデアも僅か数秒で何パターンも言語化してくれる。果たして、このAIコピーライターの実力はいかほどか。

AI文章作成ツール「Catchy(キャッチー)」のWebサイト
AI文章作成ツール「Catchy(キャッチー)」のWebサイト

 Catchy(キャッチー)は、広告のキャッチコピーをはじめ、記事のタイトルや見出し、LP(ランディングページ)のヘッドライン(大見出し)、GoogleやFacebook、Twitter広告のタイトル・説明文など、140パターン以上の様々な種類の文章をAIが自動的に生成してくれるWebサービスだ。生成された文章は、短文も長文もあまり違和感がない自然な流れの日本語になっているだけではなく、中にはポイントを押さえたアピール度の高い内容の文章も仕上がってくる。

 いくつか例を挙げてみよう。まずはCatchyのメニューの1つ、「キャッチコピー(短文)」の生成例である。例えば、「Catchyは、ニキビを防ぐ男性のための化粧水です。アンチエイジングや肌荒れの予防に最適です」と入力すると、以下のようなキャッチコピーが生成された。

「キャッチーは、若々しく健康的な肌を保ちたい男性にぴったりの化粧水です。」

「ニキビに負けるな!キャッチーは、お肌をベストな状態に保つために最適なソリューションです。」

「ニキビ・肌荒れ予防に最適な化粧水『キャッチー』で、パーフェクトな肌をキープ。」

 また、商品やサービスの要点から文章を膨らませることも可能だ。トピックに「iPhone」、要点に「iPhoneが日本でとても人気であり、私も愛用しているということ。」と入力すると、次のような長文が自動生成された。

「日本でiPhoneが非常に人気があるのは間違いない。私自身もiPhoneの大ファンで、日常的に愛用しています。洗練されたデザイン、素晴らしいユーザーインターフェース、パワフルな機能は、iPhoneがこれほどまでに人気を博している理由のほんの一部に過ぎません。さらに、iPhoneには数多くのアプリやゲームがあることも、その人気に拍車をかけています。個人的には、iPhoneは市場で最高のスマートフォンだと思いますし、新しい携帯電話を探している人にも強くお勧めします。これからiPhoneを買おうと思っている人は、きっと満足できると思います。」

 試しに、「日経クロストレンドは新市場を創るデジタル戦略メディア」と入力し、文章を膨らませるメニューを使ってみると、次の説明文が出てきた。

「日経クロストレンドは、ビジネス、テクノロジー、社会の最新トレンドに関する知見や分析を提供し、新たな市場を創造するデジタル戦略メディアです。日経クロス(原文ママ)の有力な情報源として、急速に変化するこの状況を理解するための豊富なリソースを提供しています。包括的な記事やリポートに加え、オンラインコミュニティーへのアクセスも提供しており、同じ考えを持つ他の人々と交流し、ご自身の洞察や視点を共有することができます。日経クロス(原文ママ)の最新動向をより深く理解したい方、時代の最先端に身を置きたい方に、ぜひご利用ください。」

 一部誤植の箇所もあるが、文章の流れや肉付けする方向性は的を射ており、少し手直しするだけで使えるレベルの生成文といえる。これが商品名やサービス名などを入力し、ボタンをクリックするだけで、僅か数秒で表示されるのだ。文章を生業としている筆者も、その精度の高さに驚くことも多かった。

英語圏の先端AIと日本語で“対話”できる仕組みとは?

 こうした自動文章生成を可能にしているテクノロジーの根幹が、自然言語処理モデル「GPT-3(Generative Pre-trained Transformer-3)」だ。開発者向けのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)が利用でき、それを活用してデジタルレシピはCatchyを提供している。

 GPT-3は2020年6月、イーロン・マスク氏など複数の投資家が設立した米研究開発企業のオープンAIが公開した。「英語圏では、既にGPT-3を使った記事の執筆サービスや、広告テキスト生成サービスが人気を博し、通常のビジネスでも使われるほど普及している」と、デジタルレシピCEO(最高経営責任者)の伊藤新之介氏は話す。

 では、Catchyはどのような仕組みで文章を生成しているのか。それを理解するために、まずはGPT-3について簡単に触れておきたい。

 GPT-3はオープンAIが18年に開発したGPT、19年のGPT-2の後継モデルだ。海外の全てのWikipedia(ウィキペディア)の情報や様々な書籍、記事など約45テラバイト(TB)分のデータを基に、事前学習が“完了”した自然言語生成モデルとなっている。この巨大なデータを基に、ある単語の次に来るべき単語を高精度で予測し、まるで人間が記述したような文章を自動的に生成してくれる。

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