※日経エンタテインメント! 2022年9月号の記事を再構成
YouTubeがサービスを開始してから15年。YouTubeは私たちの生活をどのように変えたのか。1349名を対象としたアンケートを元に、「YouTubeと我々の現在」を読み解いていく。[※図中の「n」は回答者数を示す]
調査概要:日経BPコンサルティングが2022年6月末に簡易調査を実施。1349名から回答を得た。
文中やグラフ中の数値は、各実数をもとに比率を算出し、小数第2位を四捨五入したもの。そのため、内訳の合計が全体の合計や小計に一致しないこともある。
毎日視聴派は2時間以上の動画を好む
YouTube上の動画(ライブ配信やYouTubeショートは除く)について、どれくらいの再生時間の動画を楽しむことが多いかを尋ねると、全体では、10分未満が23.6%、1時間以上が26.2%と、長時間派と短時間派がほぼ同じ割合となった。
ただYouTubeの視聴頻度別で見てみると傾向が異なる。「ほぼ毎日」見る人の約4分の1が2時間以上の動画を楽しんでいると回答した。これは、他のグループの視聴頻度に比べ突出して高く、毎日視聴派はYouTubeを見るための時間を確保しているようだ。
ニッチな興味を満たすYouTube
YouTube上には何億本もの動画が存在し、私たちは数多くの動画の中から自身の興味や関心にマッチするものを選ぶことができる。
「YouTubeがあったからこそ、興味・関心を満たすことができたと感じた経験がある」と回答したのは、87.2%に及んだ。YouTube上にある動画が、テレビなどのマスを対象とした媒体では決して満たされないニッチな興味・関心をピンポイントで満たしていることが分かる。
YouTubeの評価は、再生回数や高評価ボタンの数で判断されることが多い。多くの人から視聴され、高い評価を受けることはもちろん素晴らしいことであり、そうした動画を視聴できることはYouTubeの魅力の1つだ。しかし、再生回数や高評価ボタンの数が少なくても、ある人にとっては何度も繰り返し見たいほどの魅力的な動画と出合える可能性があることも、YouTubeのもう1つの魅力といえる。そして、動画を通じて、名前も顔も知らないけれど、自分と価値観の近い人と出会えることもYouTubeが生み出した大きな魅力だろう。
YouTubeは海外との距離を近くした
海外から投稿・発信されている動画をYouTubeで視聴したことがあると回答した人は61.4%だった。具体的には、音楽・アーティスト関連や、動物やペットに関する映像等が挙げられた。一方、YouTube以外の方法で、海外の動画を視聴したことがあると回答した人は36.3%と4割を切った。YouTubeの存在は海外の情報へのアクセシビリティーを高めたといえるだろう。
動画というコンテンツの魅力は、言語が分からずともおおむねその内容を理解できることだ。しかし動画へのアクセス方法が分からなければ、その魅力を享受することはできない。YouTubeの普及で、海外の動画との距離が近くなり、そういった動画自体の魅力を享受しやすくなったと考えられる。
15年で身近な存在に
現代において、芸能人やアーティストがYouTube上にチャンネルを持つことはもはや当たり前となっている。行政機関や多くの企業もチャンネルを持ち動画を配信している。趣味・プライベートに関する動画から仕事に関する動画まで、YouTube上には多様な動画が幅広く存在する。
約75%の人は、YouTubeがもはや一種のメディアになりつつあるとも評価した。
また、80.7%が、この15年でYouTubeは我々の生活にとって身近なコンテンツとなったと思うと回答した。YouTubeの存在は我々の生活に様々な変化を与えてきた。今後どのような影響が生まれるか、注目していきたい。
(日経BPコンサルティング ブランド本部調査部/轟翔太)