2022年10月4日発売の「日経トレンディ2022年11月号」 ▼Amazonで購入する では、「歯医者の真実」を特集。歯は一度削ると、その部分は二度と再生しない。だからこそ最適な治療を行ってくれる歯科を慎重に選ばないと、思わぬ不利益を被ることがある。良い歯医者を見分けるにはどうすべきか。素人でも選べる基準をチェックリストとしてまとめた。
※日経トレンディ2022年11月号より。詳しくは本誌参照
今や、コンビニより数が多いといわれる歯科。候補が多いうえ、実は専門分野も複雑に分かれており、医院選びの難しさに拍車をかけている。さらにインプラントなどの自由診療は価格相場を把握するのも難しい。
歯科の経営コンサルティングを行う経営戦略研究所歯科医院地域一番実践会の萩原直樹氏は、「骨折しても再びつながる骨と異なり、歯は一度削ると、その部分は二度と再生しない。だからこそ最適な治療を行ってくれる歯科を慎重に選ぶべき」と進言する。ある程度の専門知識をもとに歯科を選ばなければ、思わぬ不利益を被ることがあるのだ。ここでは、素人でも“良い歯科”が選べる基準をチェックリストとしてまとめた。
「日経トレンディ2022年11月号」の購入はこちら(Amazon)

良い歯医者を見分けるにはどうすべきか。まずは下調べとして、「EPARK歯科」などに代表される比較サイトを活用するといい。クチコミの信頼性は自己判断するしかないが、投稿された評価を比較に役立てられる。エリア検索はもちろん、キッズスペースや駐車場の有無といった施設情報から絞り込むことも可能だ。
ユニークな使い方をできるサービスも増えている。2019年に始まった「seeker」は、治したい症状とエリアを掛け合わせた検索が可能。歯科それぞれの得意分野を独自に収集しており、自分の症状を最初から細かく指定できるのが特徴だ。クチコミの投稿にも診療明細の提出が必須となっており、信頼度が高い。
歯科医や歯科衛生士など、歯科業界のプロしかクチコミを投稿できないサイトもある。17年にサービス開始した「プロレコ歯医者」は、不特定多数のユーザーが自由に投稿できないようにすることで、宣伝目的のクチコミを排除する狙い。プロ推薦の歯科を探せる。
比較サイトで歯科の候補がある程度絞れたら、それぞれの医院サイトを見ながらじっくり検討したい。見ておきたいポイントは、まず院長の経歴だ。「セミナーに参加しているという記載だけでなく、専門医や認定医の資格を有していると分かれば、安心度が増す」(萩原氏)。治療についての記載も、判断材料の一つ。症例写真が多く載っているとすぐ信頼してしまいそうになるが、詳細な説明があるかどうかも重要だ。最悪の場合、その歯科では治療していない症例の写真を他から流用して載せているケースもあるという。
1)比較サイト 「“認定”クチコミを必ず確認する」
歯科を得意分野で選ぶ
プロ目線のお薦め歯科を調べる
医院のサイトでは、症例や料金表の記述にも注意
詳細な料金表があることも、加点対象だ。「歯科医院経営.com」を運営する船井総合研究所の出口清氏は、「保険診療と自由診療の違いや説明を詳しく受けることなく治療が進み、希望の治療がかなわず、高額な治療費を請求されるケースも少なくない。そのため、料金表が公開されている歯科は信ぴょう性が高いとも言える」と語る。さらに、院内の様子を載せた写真や記述を見て、スキャナーなどの最新設備が整っているか、滅菌体制がしっかりしているかなども見逃さないようにしたい。
こうして候補を絞り込み、実際に歯科を受診する段階になっても注意は必要だ。必ずチェックしたい条件は、いきなり治療が始まるのではなく、きちんとカウンセリングの機会が設けられているかどうか。「即日治る」というのは魅力的だが、将来的なリスクを考えると、治療計画をしっかり立ててくれる歯科の方が信頼できる。保険診療だけで終わらせるのではなく、自由診療の選択肢を提示し、料金を説明したうえで判断させてくれるとよりベターだ。
説明を受けた際、「過去に似たような症例実績があるか」を自分から聞くこともカギになる。「手術はやはり経験数がものを言うところがあるので、ホームページなどの紹介だけでなく症例実績がきちんとあるかを受診時に確認しておきたい」(萩原氏)
比較サイトの活用や歯科サイトの確認、受診時のチェックなど、自ら積極的に動くことで、“腕のいい歯医者”に巡り合う可能性は高められる。
2)医院サイト 「症例や料金表の記述にも目を凝らす」
【1】院長が専門医・認定医の資格を持っている
専門医や認定医とは、臨床経験や試験の合格などを条件に各学会から与えられる資格のこと。口腔外科、歯周病、小児歯科は専門医、矯正やインプラントなら認定医を探すと安心度が高い。【2】症例写真と詳細な治療の説明がある
実績は重要だが、症例写真を他から流用しているケースもあるという。手術の説明や治療の流れについても詳細な説明があると、その歯科の症例実績であると判断できる材料になる。【3】最新設備が整っている
スキャナーやマイクロスコープなどの設備があると、先端治療ができる歯科だという判断材料になる。診療台に治療時の様子を確認できるモニターが設置されていることも、一つの材料に。【4】詳細な料金表が掲載されている
自由診療では料金に大きな差が出る歯科。想定より高額な治療費を請求されることも少なくない。料金表があれば、実際に診療を受けても、金額が大きく変わらず安心だ。【5】滅菌体制の説明がある
使い捨てにできない器具があったり、外科手術も行ったりする歯科では、滅菌体制の徹底が不可欠。きちんと衛生管理している歯科は、ホームページにその対策の記述があることが多い。3)受診時チェック 「“盛り過ぎ歯医者”を自分の目で確かめる」
(写真/石原 麻里絵=fort、PIXTA)
●オーラルフレイル
食べこぼしを放置すると要介護に!? 第一人者に聞く有効な対策
●虫歯
「オールセラミック」で虫歯治療後も白い歯を維持。「銀歯」は危険?
●歯周病
先端医療が保険適用。溶けた骨や歯茎が復活! 歯周病再生療法の実力
●歯列矯正
2~3年かかる歯列矯正が1年に。スピード矯正「JET System」
●ホワイトニング
白さ、回数、価格まで大違い! 導入システムで見極める
●ケアグッズ
歯ブラシから洗口液まで! 歯科医が選んだ逸品
●デンタルテック
歯周病発見AI、全自動歯ブラシ、再生治療薬……テック最前線
●歯医者のワザ
歯科矯正やインプラントは医療費控除の対象になる? ならない?
【スタートアップ大賞2022】
●大賞は、プレーに介入できる新感覚ゲーム「ミラティブ」
●新フードサブスクにネオFinTech…、新たな挑戦者続々
最新ヒット文具の裏側
ヒットを狙う次の一手
山本舞香インタビュー
▼「日経トレンディ2022年11月号」をAmazonで購入する