「TAKUMI NEXT」は、伝統工芸などの事業者に向けて経営支援を行う日本貿易振興機構(ジェトロ)の海外需要開拓プログラム。現地のマーケットに合わせた商品開発ができるよう、有識者による「メンタリング」を実施している。

日本貿易振興機構(ジェトロ)デジタルマーケティング部デジタルマーケティング課課長代理・杉山百々子氏(左)、同部主幹・牧野直史氏(中)、同課柴田桃佳氏(右)(写真/丸毛 透)
日本貿易振興機構(ジェトロ)デジタルマーケティング部デジタルマーケティング課課長代理・杉山百々子氏(左)、同部主幹・牧野直史氏(中)、同課柴田桃佳氏(右)(写真/丸毛 透)

――TAKUMI NEXTではどんな支援策を行っているのでしょうか?

牧野直史氏(以下、牧野) 2019年に始まり、今年で4年目を迎えます。経済産業省の文化経済政策「クールジャパン」の一環で推進している事業でもあります。海外バイヤーとの接点を増やせるように「TAKUMI」という固まりをつくり、デジタルとリアルを融合した方法でプロモーションしていきます。

 東京が一番多く、京都、岐阜など伝統工芸が盛んな地域の参加者も多いです。法人や個人の作家などのさまざまな事業者の中で比較的多いのは、これから海外に展開しようとしている、いわゆる「老舗の若旦那」と呼ばれるような人々です。

 22年は162社が採択されました。経営支援では、どうやったら売れるのか自ら考えるマインドセットを持つことを目指します。「メンター」によるフォローもあります。全体を統括するクリエイティブプロデューサーの川又俊明氏と、欧州の市場に精通しているビームス(東京・渋谷)の英国法人であるBEAMS&CO UKの日野達雄氏、現地でそれぞれセレクトショップを展開するシンガポールのエドウィン・ロー氏、米国のハーバート・ジョンソン氏の4人が「メンタリング」を行います。例えば、川又氏とのメンタリングでは5人程度のオンライングループによるWeb会議を実施。自分が展開を希望する地域のメンターのメンタリングを受けてフィードバックをもらいます。

 販促支援には海外バイヤー向けの電子カタログを作成するほか、TAKUMI NEXTのInstagramアカウント「ESSENCE OF JAPAN」による投稿もあります。ロー氏のECセレクトショップ「Supermama」の実店舗を使ったポップアップストアも開催しました。22年は2回開催予定で、11月の半ばまで行い、12月からまた商品を入れ替えて実施します。EC含む販売データなどをもとにロー氏にフィードバックをもらい、その後の商品開発にもつなげます。テストマーケティングの要素もあります。

重要な「ストーリー」づくり

杉山百々子氏(以下、杉山) TAKUMI NEXTに参加している事業者はSupermamaには行けませんでしたが、ジェトロ職員が現地の写真を撮って事業者に送り、各事業者がそれぞれInstagramに載せていましたね。

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