
身長155cm以下の小柄な女性を対象としたアパレルD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)ブランド「COHINA」は、2018年1月のブランド創設から3年で月商が1億円を超えた。同ブランドの成長の原動力はInstagramにある。フォロワー数の増加が、売り上げの増加に直結するからだ。連続配信日数が1200日を超えたライブ配信では、毎日実施するための効率化と顧客体験価値の向上の両立を目指した工夫を施す。また、より役立つ情報を伝えるハウツーコンテンツの充実で、繰り返し見たくなるアカウント運用を実現している。
「今ちょうど、コメント欄でも来ていましたが、『ダークブルーを他のブルーと色比べしてほしいです。あまり見ない色なので』とのことでした。確かに珍しいですね。ちょっと濃いブルーの他商品を探してみますね」。
タブレット端末を片手に新商品の特徴を説明するスタッフがそう言うと、他のスタッフが倉庫から比較対象となる過去の商品を探し始めた――。
これは、小柄な女性向けアパレルD2Cブランド「COHINA」が実施した、Instagramのライブ配信の一幕である。COHINAは、Instagramと共に成長したブランドだ。ブランド設立前からアカウントを設け、小柄な女性のファッションの悩みに役立つ情報を発信する“メディア”という位置付けで活用を開始した。
COHINAがInstagramの運用で最も重視する指標は「フォロワー数」だ。「フォロワー数が増加すると、連動して売り上げが増える」(COHINA創業者の田中絢子氏)のがその理由。現在のフォロワー数は23万人を超えている。昨今では、短尺動画SNS「TikTok」などの活用に力を入れるなど、顧客との接点は多様化している。それでも、「Instagramがなくなったら大打撃を受けるぐらい、影響は絶大だ」と田中氏は言う。
もちろん、むやみやたらとフォロワーを増やしているわけではない。ブランドコンセプトとInstagramで発信する情報を「小柄な女性向け」と一致させ、かつエッジが立っているから、無関係なフォロワーは集まりにくい。フォロワーは、すなわち有望な見込み顧客だからこそ、売り上げとの連動性がより高い。COHINAの最初の商品はブラウスとスカートのセットアップのたった1つだった。そこからInstagramを原動力に顧客を増やし、21年1月には月商が1億円を超えた。現在も成長を続けている。
1200日にわたり、毎日ライブ配信
同社のアカウント運用、最大の特徴は毎日実施しているライブ配信にある。連続配信日数は1200日を超えているというから驚きだ。毎日配信を始めてから、1日も欠かすことなく顧客と直接コミュニケーションをとってきた。冒頭はライブ配信中に寄せられたコメントを通じて、配信者が視聴者の要望をくみ取っている一場面だ。単一の商品だけでは分かりにくい色合いを、過去の商品と比較することで、イメージしやすくなる。納得すれば購買につながる。
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