「インスタ」フォロワー拡大大作戦! 第1回

写真・動画特化SNS「Instagram」が国内の月間利用者数は3300万を超え、消費者の生活にすっかり定着した。2017年には「インスタ映え」が新語・流行語大賞に選ばれるなど、消費を生み出す場として、企業のマーケティングとしても欠かせない存在だ。一方で、次々と機能が追加され、活用方法は複雑化している。また、Instagramは拡散力が他のSNSに比べて低く、フォロワーを増やすためには工夫が必要だ。本特集では専門家の知見や先進企業の事例を基に、最新版のフォロワー増加のサイクルをフレームワーク化した。

写真・動画特化SNS「Instagram」は企業のマーケティング活動にとっても欠かせない存在になりつつある(写真/Shutterstock)
写真・動画特化SNS「Instagram」は企業のマーケティング活動にとっても欠かせない存在になりつつある(写真/Shutterstock)

 「Instagramが事業に与える影響は絶大だ。23万というフォロワーとのコミュニケーションの場であるInstagramがなくなったら、大打撃になるほど売り上げへの貢献度が高い」

 小柄な女性向けアパレルブランド「COHINA(コヒナ)」創業者の田中絢子氏はこう語る。COHINAはInstagramと共に育ったブランドだ。ブランド設立前からInstagramのアカウントを開設し、小柄な女性が持つファッションの悩みを解決するメディアと位置付け、情報を発信。ブランドの本格展開後も商品のデザインから、人気投票まで、Instagram上での多岐にわたるコミュニケーションを通じて顧客と共にブランドを成長させた。

 田中氏がInstagram運用で最も重要視している指標は「フォロワー数」だという。「フォロワー数の増加は売り上げの増加に直結する」(田中氏)からだ。現状のフォロワー数は23万超にまで拡大している。

 それは支援会社に寄せられる相談でも変わらない。SNS活用の支援会社コムニコ(東京・港)カスタマーサクセス局プロダクションチームの後藤真理恵マネージャーは「企業のInstagram運用において、フォロワー数は社内に報告する分かりやすい指標。重視される傾向は今も変わらない」と明かす。

 昨今、SNSは転換期を迎えているといわれる。短尺動画SNS「TikTok」が顕著で、徐々に人とつながるメディアから、新しい情報を発見するメディアへと移り変わりつつあるのがその理由。Instagramからもその傾向は強く見て取れる。例えば、「発見タブ」はその一例だ。発見タブでは、フォローしているアカウント、閲覧時間が長い、あるいは「いいね!」やコメントをしている投稿などの傾向から、フォローしていないアカウントの投稿もリコメンド(推奨)として表示される。

 Facebook Japan(東京・港)の味澤将宏社長はInstagramの特徴を「興味関心のあることを探して、発見し、つながる。『好き』と『欲しい』をつくれるプラットフォームだ」と説明する。若年層を中心にInstagramを検索サービス代わりに使うことは当たり前だ。「その傾向は日本が顕著。この利用動向に合わせて、地図から店舗などを検索できる機能を日本発で開発した」(味澤氏)ほどだ。

 検索や発見タブで、フォローしていないアカウントから発信される新しい商品や情報との出合いが生まれ、消費を生み出している。だからこそ、「コンテンツ」の重要性がより高まり、フォロワー偏重の時代は終焉(しゅうえん)を迎えつつあるという主張がある。おそらく、一面においては正しい。だが、Instagramの発見タブにコンテンツが表示するアルゴリズムは、いいね!やコメントが多い人気コンテンツであることも参照しているといわれる。その初速をつくるのは、やはりフォロワーだ。

時代は変わってもフォロワー数が重要な理由

 Instagramには、「Twitter」で第三者が投稿したツイートを自身のアカウントに転載する「リツイート」のように、利用者が自発的にコンテンツを他の利用者へと拡散できる機能は備わっていない。その代わり、日ごろからフォロワーと良好な関係を築き、反応率を高めることで、発見タブなどにコンテンツが表示されやすくなり、非フォロワーの目にも留まりやすくなる。結果として、客が客を呼ぶサイクルが生まれる。

 コンテンツを広める源泉になり得るフォロワー数を増やすことは、Instagramのマーケティング効果を高めるうえで重要なことに変わりはないのだ。ただし、きちんと自社の商品・サービスに関心が高いであろう層にフォローしてもらい、コミュニケーションを通じてより好意を持ってもらえなければ、コンテンツへの反応率は下がり、結果的にフォロワーの拡大は鈍化する。単に増やせばいいというわけではないことを念頭に置いていただきたい。

 ただ、Instagramは新しい機能が追加されたり、利用者の需要が変化したりする中で、フォロワーを獲得するための手段は複雑化している。今回、日経クロストレンドでは専門家やInstagramを先進的に活用する企業の取材から、Instagramフォロワー増加のフレームワークを作成した。それが下図となる。

Instagramのフォロワー増加のフレームワーク。既存のフォロワーの反応率を高めることで、非フォロワーにコンテンツが表示されやすくなる。それにより、新規フォロワーが増える。このサイクルを生み出すことが理想のアカウント運用だ
Instagramのフォロワー増加のフレームワーク。既存のフォロワーの反応率を高めることで、非フォロワーにコンテンツが表示されやすくなる。それにより、新規フォロワーが増える。このサイクルを生み出すことが理想のアカウント運用だ

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