一概に「Z世代(1990年半ばから2010年代前半生まれ)」といっても、その年齢幅は10歳以上に及び、中高生から社会人までを含む。彼ら彼女らをより深く理解するために、小々馬ゼミでは年齢層ごとに「3層区分法」を用い、ニーズや思考を探る。今回は、異なる3つの年齢層のZ世代3人による座談会を実施。価値観やSNSの活用法など、Z世代の中でも差異が見えてきた。

 大学のキャンパスでは毎年学生が入れ替わっていきます。教職員の間では「今年の新入生は受講態度が真面目だね」「だんだんとスマホの使い方がこなれてきたね」などと彼ら彼女らの変化が話題になります。そうした小さな変化を後に振り返ると、2~3年ごとに同質性の高い年齢層の特性が見えてきます。さらに学生たちは「1つ下の代は、私たちと動画の視聴方法やSNSの投稿方法が違います」などとその違いをより正確に捉えています。

 前回までの記事「Z世代は本当に魅力的な市場か? 解像度を上げる『3層』区分法」では、年齢幅が10歳以上に及ぶZ世代をひとくくりにせず、3つの層に区分することで、2~3歳ごとに変容していくニーズや思いを捉えやすくなることを報告しました。

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 今回は、「3層区分法」に基づいた3つの年齢層のZ世代に集まってもらい、座談会を実施。各年齢層の意識や行動特性の違いについて、Z世代自らの言葉で明らかにしてもらいます。

 3つの年齢層区分は下記の通り(1)Z1・GRADS:社会人(23~25歳)、(2)Z2・アラウンド20:大学生(19~22歳)、(3)Z3・ティーンズ:高校生(16~18歳)です。

小々馬ゼミで活用するZ世代の3区分
小々馬ゼミで活用するZ世代の3区分

 なお一般的な定義では、中学生(15歳以下)はZ世代に含まれていますが、行動特性や物事の考え方が下のα(アルファ)世代(小学生以下)に近いことから、α世代のリーディング層と捉えています。

 座談会の参加者は以下の3人です。

Z1・GRADS(23~25歳)、齊藤有紗さん:1998年生まれ 24歳 社会人2年目
 2021年大学卒業。事業会社で広報業務を経て、現在は独立し若者市場向けマーケティングを支援するマーケターとて活躍中。

Z2・アラウンド20(19~22歳)、熊谷侑華さん:2000年生まれ 22歳 大学3年生
 2020年コロナ禍で大学入学。大学生活はオンライン授業から始まった。高校時代にティーンズ向けマーケティングを行う企業でアルバイトした経験をきっかけに、マーケティングの専門キャリアに興味を持っている。

Z3・ティーンズ(16~18歳)、見留有紀さん:2002年生まれ 19歳(今年20歳) 大学2年生
 2021年入学。コロナ禍に大学受験・入学。将来は若い世代の女性を応援する事業を起業したいと考えている。*ティーンズに最も近い年齢を代表して、高校時代を思い出しながら話してもらいます。

 以下は、昨年公開した研究リポート「Z世代・大学生が描く2030年のウェルビーイングな社会」で作成した、当時20歳の大学生がどのように育ってきたのかを図示した「Z世代の成長年表」です。座談会のコメントを年表に照らし合わせて、各年齢層の価値観と行動の背景にある環境要因について確認してみてください。

▼関連リンク(クリックで別サイトへ) 研究レポート『Z世代・大学生が描く2030年のウェルビーイングな社会』 11月29日(火曜日)アルファ世代を理解できる無料オンラインセミナーの開催が決定しました!
Z世代の大学生 成長の軌跡 -20歳の年表 2001-2021年-
Z世代の大学生 成長の軌跡 -20歳の年表 2001-2021年-

Z世代は、Z世代であることを自覚していない

 そもそも学生たちは、Z世代と呼ばれてくくられることをどう感じているのか。率直な感想を聞いてみました。

有紗(Z1:24歳) 大学3年生の時(2018年)に、Z世代というワードがメディアで出てきた印象があります。それまでは「若者」という言葉が使われていて「若者のテレビ離れ」などといわれていました。社会人になり、先輩や上司から「やっぱりZ世代だね!」といわれることが頻繁にあり、違和感を持っています。例えば、興味を持った記事を社内で発表する機会があった際、社会課題に関する記事を紹介すると30代後半の方々から「やっぱりZ世代だわ!」と言われたりしました。

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