Z世代研究を行う産業能率大学の小々馬敦教授による新連載。第1回では、年齢層が広く行動特性や価値観が捉えづらいZ世代を、適切に区分化して捉えるノウハウを聞いた。第2回では、「ひとくくりにされたくない」Z世代に向けたマーケティングに必要な思考を考察する。

Z世代の特性はライフステージによって変わるのか?

 Z世代の特性はライフステージによるものなのか、という質問を企業の方からよく受けます。例えば、大学時代はお金に余裕がないため“コスパ意識”が強いが、社会人になって安定収入を得られるようになるとブランド志向に変わるのではないかという疑問です。私自身も検証したいので卒業生に状況を教えてもらうのですが、在学時からの変化は見られず、その世代共通の価値観を持ったまま社会人として成長していく様を確認しています。

 人間の性格は、おおよそ3歳くらいまでに形成されて10歳くらいまでに確定するといわれます。しかし大学生を見ていると、物事の考え方や消費行動など社会活動の特性は、中学から高校時代の思春期における学校と家庭での教育、SNSの利用や交友の仕方の違いが環境要因となって、同年生まれに共通の価値観や行動特性が確立され、以降の人生に継承されていくのだろうと感じます。

「ひと」でなく、「思い」に焦点を当てたコミュニケーションを

 Z世代の中でも特に高校生から大学生は、自分らしさを表現したい思いを日々成長させています。この思いに焦点を当てて、タイミングよく自己成長をサポートする活動は受容性と効果が高いと考えます。

 下図は、あるコスメ企業とのプロジェクトで、学生が描いたターゲティングの考え方です(今回は便宜的に、あえて「ターゲット」という言葉を使います)。属性で区切ったひと(グループ)をターゲットに設定するのでなく、1人の女の子が高校から大学を卒業するまでの間に、どのようにメークアップのスキルを高めていくのかと、自分らしさの表現を成長させていく過程の関係性から、ブランドが寄り添うべき思いを定義しています。この定義から生まれたアイデアは、プチプラコスメとデパコスの中間価格帯で「自分らしさの表現へのチャレンジを応援するメークアップコスメ」という、女の子の心の中にありながら市場にはない新しいカテゴリーになりました。

1人の女の子の成長プロセスに焦点を当てることで、ブランドのコミュニケーションを考えていく
1人の女の子の成長プロセスに焦点をあてることで、ブランドのコミュニケーションを考えていく

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