
企業はWeb3をどう取り込んでいくべきか。ビジネス活用を探る特集の第3回は、国内外の事例を基に可能性を見ていく。ポイントとなるのは、「コミュニティー」と「NFT(非代替性トークン)」。特に、NFTはそれそのものを“売る”のではなく、ビジネスモデルにうまく組み込むことで大きな可能性が生まれている。
Web3の話題を聞かない日はない。2022年9月26日、日本発のパブリックブロックチェーンを開発するAstar Networkが、独自トークン「ASTR」を暗号資産取引所「bitbank」に上場させたニュースは記憶に新しい。その際、日本経済新聞に329社のロゴと共に全面広告を出したことは、大きな反響を呼んだ。これらの反応を見ると、Web3は「未来の市場」ではなく、徐々に「事業対象領域」として捉えられつつあるのが分かる。
Web3は、大きなインパクトを与える革新的な領域であると信じている人は多い。GoogleやMeta(旧Facebook)、Twitterなどのビッグテックに、データや富が集まることへのアンチテーゼのような文脈で語られることもあり、Web3の登場により既存のサービスが代替されると予言する人もいる。
その一方で、破壊でも代替でもなく、「オルタナティブ(選択肢)としてのWeb3」が広がり、一般化していくという声もある。Web2とWeb3を対立構造化せず、それぞれの良い点をくみ取った際、現実的にどのようなサービスが直近で広がっていくのか、特集の第1回と第2回でも登場した一部に中央集権的な仕組みを残した「Web2.5」ともいえるアプローチも含め、企業事例と共に見ていきたい。企業活用を読み解くポイントは「コミュニティー」と「NFT」だ。
Web3以前から「コミュニティー」重視の動きは顕在化
Web3もしくはWeb2.5で重視されるのが、コミュニティーであることは特集で既に触れた通り。事業の評価軸が、これまでの「プロダクト」を中心としたものから、「コミュニティー」を軸にしたものになる可能性がある。
つまり、プロダクトに集まるユーザー数や売り上げ規模によってその企業の評価が市場で査定されてきたが、Web3の概念が濃くなるほど、コミュニティーという受け皿に、自発的かつ自律的に参加したいと思う参加者がどのくらいいるのかが中心的に評価されるようになるというのが、大きな流れだ。コミュニティーづくりが、サービスのサステナブルな成長には不可欠となり、成長のエンジンにもなる。
ここからは従来型の企業が、どうWeb3のコミュニティーの考えを取り入れていくべきかを考察していきたい。
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