
バズワードとなっている「Web3」。NFT(非代替性トークン)の話題などを見聞きする機会も多いはずだ。だが、NFTはWeb3のほんの1パーツ。実は、企業にとって意識しておきたいポイントは他にもある。今回はWeb3それ自体をビジネスとするのではなく、企業運営、サービス開発、マーケティング……これからの企業活動を考えるうえで知っておきたいWeb3の視点を専門家とともに見ていく。
メタバースに続き、2022年に急激に盛り上がりを見せているキーワード「Web3」。米国を中心に関連スタートアップへ莫大な資金が流れ込み、日本でも新規参入や新サービスの開発が相次ぐ。まさにホットワードといえる。
ただ、投資対象として過熱しているのではという声も最近では目立つ。Web3関連の1つのテーマであるNFT(非代替性トークン)を活用したデジタル作品が、数千万円、数億円といった価格で落札されるといったこともよく耳にしたはず。その一方で、NFT市場の取引額が伸び悩んでいるといった報道もある。暴騰、暴落……、投機的なイメージを持っている人も少なくないだろう。
そんな中でも、「Web3は次世代のインターネット」といわれるように、大きなインパクトを持ち、時代の大きな転換点だという見方も根強い。次世代の産業やビジネスを考えるうえで、避けては通れない、ビッグウエーブという認識は強固なのだ。
そもそもWeb3とは何者なのか?
では、そもそも「Web3」とは何なのか。22年2月の記事で詳報をしているが、改めてその記事の一部を抜粋しながら説明をしていきたい。
▼参考記事 次世代インターネット「Web3(3.0)」とは 理解すべき4つの要素前述のように、Web3は「次世代のインターネット」ともいわれるが、明確な定義は定まっていないという見方が多い。新しい概念であり、また自身が所属する事業領域などバックグラウンドの違いで、定義や方向性は変わってくる。
ただ、大きな枠組みでは共通認識があり、それが「分散型のインターネット」ということだ。
「Web 3.0, a decentralized and fair internet where users control their own data, identity and destiny.」
Web3 Foundationのウェブサイトには、Web3の“定義”としてこう書かれている。同財団は、主要な暗号資産の一つであるイーサリアムの共同創業者で、Web3の最初の提唱者ともいわれるギャビン・ウッド氏が代表を務め、Web3のビジョンの実現を目指す企業やプロジェクトを支援している。
直訳すると、Web3は「ユーザーが自分自身のデータ、アイデンティティー、運命をコントロールできる、分散型でかつ公正なインターネット」ということになる。
前述の参考記事では、専門家に詳細を聞き、Web3のポイントをまとめている。そこから浮かび上がってきたキーワードが以下の4つだ。
(1)分散型の台頭と躍進
従来のような中央集権型プラットフォームではなく、分散型が台頭し拡大する
(2)所有の権利がユーザーに戻る
プラットフォームに依存せず、データを自分で管理し、利用できるようになる
(3)オーナーシップの在り方が変化
サービスの拡大に寄与した人など、より多くのメンバーへオーナーシップが分散化される
(4)DAO(自律分散型組織)の拡大
組織のリーダーというものが基本は存在せず、つくる人・運営する人と、利用する人といった階層構造がなくなる
企業や企業人が取り入れるべきWeb3視点は
4つの重要なポイントの中でも、特に企業人やマーケターが意識しておきたいのが、(3)の「オーナーシップの在り方の変化」と(4)の「DAOに代表される組織体制の変化」だ。サービスのWeb3化によって、企業と消費者、企業と従業員、企業と企業……、あらゆる関係性、コミュニケーションに大きな変化が起きる可能性がある。
オーナーシップの在り方の変化とは何か。
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